マーケティング/マーケティング事例

フィリップス、革新的な調理家電で成功し続ける秘密(4ページ目)

『フィリップス ノンフライヤー』に続き、『ヌードルメーカー』でも爆発的なヒットを記録したフィリップス。果たして革新的な製品を立て続けにヒットさせる秘密はどこにあるのか?開発責任者を直撃した。そこで浮かび上がったのはマーケティングで大事にしたい5つのポイントだった。

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

4.実際に体験する機会を増やす

ヌードルメーカー

8月22日から代々木公園で開催される『うどん天下一決定戦』でオランダ代表として参戦することが決定した(公式フライヤーより)

イノベーティブな製品の弱点は、これまでになかった製品ゆえに、顧客は説明だけでは製品の良さがイメージできずに、購買意欲につながりにくいことだ。その点、フィリップスは実際に顧客に体験してもらい、どれだけ自分や家族の生活を豊かで楽しいものにするかを感じてもらうことに注力している。

たとえば、フィリップスは『ヌードルメーカー』を実際に体験できるキッチンカーを製作し、“麺の聖地巡礼プロジェクト”を始動させた。

7月12日、そばの聖地である長野松本城を皮切りに、7月19日はラーメンの聖地博多、7月26日にうどんの聖地“うどん県”の高松、そして8月2日にはパスタの聖地横浜で『ヌードルメーカー』で作った麺を食べてもらう体感型のイベントを開催し、多くの顧客に家庭で手軽に生麺が作れることの楽しさを伝えるのに成功した。

8月22日からは、東京の代々木公園で開催されるうどんの祭典『うどん天下一決定戦』にオランダ代表として参戦することが決定し、こちらも話題をさらいそうだ。

5.周辺産業も巻き込んだ成長を指向する

最後に、フィリップスが立て続けに成功を収めている要因として、自社だけでなく、周辺産業を巻き込んだ成長を指向していることが挙げられるだろう。

たとえば、フィリップスは今回の『ヌードルメーカー』の日本市場投入にあたって、日清フーズに家庭でおいしくできるレシピの共同開発を提案。家庭用の小麦粉の販売が頭打ちになっていた日清フーズにとっては“渡りに船”であり、共同で製品設計の見直しやレシピ開発が進んだ。

また、家庭で麺を作る習慣が根付けば、そば屋など外食店の顧客を奪うことにつながると思われがちであるが、実際には麺作りへの関心を高めたユーザーがプロの麺を試すために外食店を訪れる機会が増加するなど、外食産業の活性化に寄与していくことも視野に入れる。

このようにフィリップスは、『ヌードルメーカー』の普及により、自社だけでなく、周辺ビジネスを育成し、周りの会社をも元気にすることを目指しているのだ。


現状フィリップスは、パナソニックなど日本の大手家電メーカーに比べれば、まだまだ日本市場で消費者に認知されているとは言い難いが、これまでにない製品を生み続けるイノベーティブなスピリットと周辺産業をも巻き込んで共に成長していこうという姿勢で、今後さらにその存在感を増してくることは間違いないだろう。


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