航空券を1円で販売しても大丈夫な5つの理由とは?
航空券を1円で販売しても大丈夫な5つの理由とは?
1.座席数限定、期間限定で費用負担は限定的である
今回の“1円キャンペーン”は大阪‐上海路線就航を記念して、4月1日から30日のフライト限定で実施されます。春秋航空の大阪‐上海間は最低料金で6500円なので、仮にこのクラスの座席がキャンペーンに割り当てたられたとすると、たとえばキャンペーン期間中に毎日10席を1円で提供した場合、195万円程度の売上減少になります。もともと“1円キャンペーン”はパブリシティ戦略の一環であり、この売上減はテレビCMや新聞広告を展開するのに比べれば、かなり低額なコスト負担といっても過言ではないでしょう。
2.会員登録が必須で継続的なコンタクトが可能である
また、今回のキャンペーンに応募する場合は、春秋航空公式サイトの会員登録をする必要があります。春秋航空側とすれば、応募でより多くの会員が集まれば、今後はEメールを通してコスト負担なしで潜在顧客に定期的なアプローチが可能となり、売上アップにつなげることもできるようになる仕掛けがあるのです。
3.関連売上で売上アップが見込める
今回のキャンペーンでたとえ航空運賃が1円だったとしても、実際には1円のみで済むわけではありません。ホームページで確認してみると燃料サーチャージなどで別途1万30円が必要になってきます。また有料サービスとして、座席指定や超過手荷物、機内食などがあり、これら有料サービスを利用する顧客は追加料金を支払わなければならず、春秋航空にとっては関連売上で売上アップを見込むこともできるというわけです。
4.往復で申し込む場合は売上アップが見込める
一般的に飛行機を利用する場合、片道だけで利用するよりも往復で利用する顧客の方が圧倒的に多いことは間違いないでしょう。今回の“1円キャンペーン”は、一度の予約で片道1枚までの予約となっており、複数枚のチケットの予約はできるものの、別途申込みを行わなければいけません。そこで、往路は1円で予約できたとしても、復路は正規運賃、もしくはその逆のパターンもかなりの割合に上るはずです。つまり、往復を考えれば相応の売上につながっていくのです。
5.空席で飛ばすよりは1円でも利益アップにつながる
飛行機を100%の搭乗率で飛ばすことは、かなり難しいといっても過言ではありません。やはり、何席かは空席のまま空港を飛び立つことは避けられないでしょう。航空会社は空席を在庫として取っておくことはできないので、乗客を乗せずに運行すればその分売上は減ってしまいます。そこで1円でも代金を徴収して、空席を埋めていけば、追加の乗客一人当たりにかかるコストはほとんどありませんので、そのまま利益アップにつながっていくのです。これはマーケティングで『イールドマネジメント』呼ばれる手法ですが、その究極の方法として1円キャンペーンを利用しているというわけです。
春秋航空が“1円キャンペーン”で成功を収める鍵となるものとは?
今回の“1円キャンペーン”の目的は、その話題性から多くのメディアを通して広く自社、および自社のサービスを知ってもらうこと、一人でも多くのお客様に自社サービスを利用してもらうこと、そして最終的には今後の継続的な利用につなげていくことにあります。特に春秋航空にとっては最後の目的である『継続的な利用』は、今後の事業の成否を占ううえで最も重要視しなければならないポイントとなります。
そのためには、“1円キャンペーン”といえども1回限りの利用に終わらせるのではなく、「正規運賃を払っても乗りたい」という価値あるサービスを提供できるかどうかが成功の鍵を握っているといっても過言ではないでしょう。