自主的な頑張りを期待するだけではダメ? 怠ける人が出ない組織とは

よい環境の職場

誰もが自主的に頑張れれば理想的ですが、数人集まれば手抜きする人が出てくるのは自然現象です。「社会的手抜き」をなくすためのコツとは?


管理職やチームリーダーなど「人を束ねる役目」を任された人たちは、メンバーの動きに対してストレスを抱えることが多いようです。「みんなが協力してくれない」「みんなもっと自主的に動いてくれたらいいのに」……リーダー役を引き受けたことのある人は、そのように感じた経験が少なからずあるのではないでしょうか。

一対一で話せば「やりたいこと」や「チャレンジしたいこと」への熱い思いを語ってくれ、やる気や実行力もありそうな人でも、「群れ」のにいるとなぜか他人任せリーダー任せになってしまうことは珍しくありません。

「もっと協力して!」「自主的にやって!」と文句を言いたくなることもあるかもしれませんが、そうした思いをぶつけてみたところで、当たり障りのない返事を返されるだけで、実質的には何も変わらないことが多いかもしれません。なぜこうなってしまうのでしょう?
 

小さな集団でも、個人の努力や働きが悪くなる「社会的手抜き」とは

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1人暮らしのときは自立してたのに、同居した途端に何もやらなくなるのはなぜ?

人は、集団の中にいると、「私1人が、ちょっとくらいサボったって分からないだろう」という気持ちが起こりやすくなります。このように、集団の中にいることで個人の努力や働きが減少することを「社会的手抜き」と言います。

実際、人が数人集まっただけでも、「社会的手抜き」は起こります。たとえば、独身時代には洗濯も掃除もマメにやっていた娘や息子が、実家に帰ってくると家族任せで何もしなくなる。1人旅の計画は完璧に立てるのに、友だちグループとの旅行計画は仲間任せになる……。こういったちょっとしたことも社会的手抜きの一種です。

集団活動の努力は、必ずしも自分の利益に直結するわけではないため、「今日くらい」「自分1人くらい」と言う気持ちから、適当に手を抜いてしまう傾向があるのでしょう。こうした手抜きの多くには悪意はなく、無意識的にやってしまっていることが多いものです。

とはいえ、社会的手抜きが放置されていると、「みんなのために頑張る人」が損をして、「自分のことしか考えていない人」「うまく手抜きをする人」が得をしてしまう構造ができてしまいます。ひどくなると、組織の中で誰かが築いた成功の上に、ちゃっかりと“ただ乗り”をする「フリーライダー」が溢れてしまうことも……。こうなると、グループの雰囲気や生産性が崩壊してしまいます。それを防ぐための小さな2つのコツをご紹介しましょう。
 

「社会的手抜き」の防ぎ方1:「やるべき仕事」をきっちり決める

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「やるべき仕事」が決まっていれば、他人任せにせずに積極的に参加できる

まずは人が数人集まったら、各人の「やるべき仕事」をきっちり決めることが大切です。

「気がついた人がやろう」「みんなでやろう」といった曖昧な約束事しかない状態では、「みんなのために頑張る人」ばかりが働き始め、やらない人はさらに努力をしなくなっていきます。その結果、「頑張る人」が報われずに、燃えつきてしまいます。

職場や学校はもちろんのこと、デイキャンプのようなちょっとした集まりでも、一人ひとりの「やるべき仕事」が決まっていることが大切です。リーダー(幹事)1人が仕事を抱えず、「場所決めは、○○さん」「お金の徴収は○○さん」「火起こしは○○さん」というように、メンバーの性格や能力に合わせて「やるべき仕事」をあらかじめ考え、すばやく役割を割り振っていきましょう。

きっちり「1人1役」でなくても、2人1組などのユニットをいくつか作り、メンバー全員に「何らかの役を担っている」という意識を持たせることが大切です。ただし、「人使いが荒い」などとメンバーに反感を持たれないためにも、リーダー自身も自分の仕事をメンバーにはっきり提示しておくことが大切。特に、連絡と調整、スケジュール作成のような「要」となる仕事は、リーダー自身が行うようにしましょう。
 

「社会的手抜き」の防ぎ方2:プラスのフィードバックでやりがいを与える

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「とてもよかったよ」と言われれば、「次も頑張ろうかな?」と思えるもの

さらに、それぞれの仕事に対して、プラスのフィードバックを行うことも大切です。たとえば、飲み会の会場を予約してくれた人には、「今回の店、いい雰囲気だったね」「リーズナブルで助かったよ」「場所選び、上手だね」といったように、「いいところ」を見つけて褒めてあげましょう。

仮に「この店、いまいちだったな」といった不満が残ったとしても、そこをズバリ指摘して、けなさないこと。次回のモチベーションにつながらなくなってしまいます。不満の発生を防ぐためには、事前に店の候補を挙げてもらい、リーダーと一緒に、あるいは複数の人で話し合って決めるなどして、担当者だけの責任にしないようにすることが大切です。また、次回には「今度はこんな雰囲気の店でどうかな?」「候補を提示してね」などと、事前にリクエストを出しておくといいでしょう。

いずれにしても、「みんなのために頑張る人」が恥をかかないように配慮し、「みんなに喜んでもらえてよかった」「また協力したい」と思わせるのが、リーダーの腕の見せ所です。こうした配慮が効を奏せば、メンバーは「やらされた感」を感じず、「場所決めはボクの役目」「会計は私の役目」などと、与えられた役割を「自分の仕事」と自主的に感じてくれるようになります。
 

社会的手抜きは自然現象。大切なのは事前の発生予防

人が数人集まれば、社会的手抜きが発生してしまうのは、自然の成り行き。そうした「自然現象」にガッカリしたり、むなしさを感じたりしても、何の実りもありません。それより、事前に社会的手抜きを想定し、それが発生しにくい条件をつくっておくこと。そうすることによって、メンバーとグループ活動の楽しさを共有した方が、何倍も建設的ではないでしょうか?

リーダー役の人は、最初はたいへんかもしれませんが、このサイクルがうまく回れば、グループ内の自主性が高まり、リーダー自身も楽になります。ぜひ、家庭や学校、職場、サークルなどの身近な集団の中で、試してみてください。
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