モラハラとは……一見わかりにくいモラハラでも自尊心は傷ついていく

自慢話をする女性のイメージ

気づけば自慢話ばかりの友達に内心うんざり……。自慢しながらさりげなく相手の価値を貶めていく言動も、「モラハラ」に該当する場合があります

心ない態度や言葉によって人を傷つける「モラハラ(モラルハラスメント)」。家族や友人、職場の同僚なども含め、モラハラはあらゆる人間関係で生じます。明白なモラハラ行為としては、人格を傷つける発言や乱暴な言葉、相手に有無を言わせない威圧的な態度があります。しかし、普段の会話の中で何気なく言っていること、やっていることのなかにも、一見気づきにくいモラハラ行為があるのです。

どのような形であれ、モラハラを受け続けていると、被害者の自尊心は損なわれていきます。そして「自分には価値がない」と思い込んでしまうと、相手の言いなりになりやすくなります。これは健全な人間関係とは言えません。

モラハラの加害者、被害者にならないためには、一見分かりにくいモラハラ行為の具体的行動を理解し、それがなくなるようにしていくことが必要です。「気づきにくいマウンティング」「気づきにくいディスカウント」「気づきにくいマニピュレーション」の3つに分けて、どのような行為がモラハラに当たるかを解説します。
 

気づきにくいマウンティングとは……自慢話や過剰なアドバイス・大声での会話など

自分が相手より優位であることを誇示し、相手の自尊心をくじくのが「マウンティング」。マウンティングにはたくさんの種類がありますが、一見分かりにくい行為もあります。

例えば、日常的な会話で繰り広げられる自慢話にも、マウンティング行為が出現することがあります。自分の生活がいかに充実し、輝いているかを伝える「幸せアピール」がその一つ。聞き手の気持ちも考えずに一方的に幸せアピールをし続けると、相手が「すごい」「うらやましい」と言わざるを得ない立場に置かれてしまいます。また、相手が求めていないのに「絶対こうした方がいい」「これをやらないなんてありえない」といったアドバイスが多い場合も、アドバイスする側の成功談のアピールを一方的に聞かされる構造になっていることがあります。こうした構造の中に置かれると、聞かされる側は自分の人生を相対的につまらないものに感じさせられ、じわじわと自尊感情が低下してしまいます。
 
また、会話の内容に関わらず、大きな声で話す癖がある人も少し注意が必要です。もちろん楽しい話題で気分が盛り上がり、声が高揚していくのは自然なことです。しかし、なかには自分の存在感を大きく見せて周囲を威圧するために、無自覚のうちに部屋中に響き渡るような大声になっている人もいます。こうした人のそばにいると、受け手は常に相手の声にビクッと驚かされ、萎縮しやすくなってしまいます。

こうした行為が続いて、受け手に不快な思いが続く場合、何気ないコミュニケーションがモラハラになっている可能性が考えられます。
 

気づきにくいディスカウントとは……冷たい返答・いじりなど

ディスカウントは、相手の価値を値引きするような言動を指します。「あなたってダサいよね」「話が下手だよね」というように直接的に値引きをする場合だけでなく、相手の発言への応答の仕方によってディスカウントをしている場合もあります。

例えば、発言する度に「なにそれ(苦笑)」「そうとは言いきれないけどね」「そんなことありえないけどね」といった言葉を頻繁にかけられると、発言者の価値が下がってしまいます。相手を思いやる応答であれば、まず「なるほど」「そういう考え方もあるよね」などと、いったん相手の発言に配慮する発言があるはずです。こうした言葉もなく、いきなり相手の発言の価値下げをすると、ディスカウントになってしまいます。
 
また、一見親しみの気持ちがこもっているように見えて、相手の存在を軽視し、相手が嫌な気持ちになることをする「いじり」も、ディスカウントです。ある人が何かをするたびに茶化したり、人をからかって場の雰囲気を盛り上げたりするのが、いじりの常套手段です。こうした言葉によるいじりだけでなく、仲の良いふりをして急に肩を回して相手にのしかかったり、元気づけるように見せて背中を乱暴に叩いたりするのも、身体的な「いじり」のディスカウントといえます。
 

気づきにくいマニピュレーションとは……丁寧でも相手に自責の念を抱かせる言い方

マニピュレーションとは、人の心情を巧みに操作して、相手に非があると思わせることです。たとえば、何かの問題が生じたとき、その人だけのせいだとはいえないのに「何であなたがもっと注意してあげなかったの?」「あのとき、もっとできることがあったんじゃない?」というような言い方をし、「私が気を利かせなかったから、こうなってしまったんだ」という気持ちにさせたりすることが、よくあるマニピュレーションです。
 
また、知識もスキルも経験もそこそこ身についているのに、いつまでも半人前扱いしたり、苦手なことをわざとやらせて力不足だと思わせることも、マニピュレーションです。こうして、マニピュレーションのターゲットになってしまった人は、常に「自分は至らない人間」「能力の低い人間」だと思わされ、自尊心をなくしていきます。
 

わかりにくいモラハラへの対処法・改善させる方法

上のような一見分かりにくいモラハラ行為を受けて不快な気持ちになったら、一人で抱えてモヤモヤせず、なぜ不快に感じるのかを考えましょう。そして、「そういう言い方をされると、私の価値を下げられているように感じる」といった自分の感じ方を伝えることが大切です。すると、良識のある人は自分の言動を恥じ、今度はそれを繰り返さないように注意するでしょう。

逆に、不快な気持ちを伝えたことでさらに嫌がらせをされるなど、不利な立場に追い込まれた場合には、その相手との距離を置きましょう。自分からは積極的にかかわらないようにし、最低限必要なことだけ、コミュニケーションを取るようにしましょう。こうすると、自尊心がそれ以上傷つかないように、自分を守ることができます。
 

モラハラ加害者・被害者にならないためのアドバイス

加害行為のほとんどは、無意識的に行われています。したがって自分が何気なく行っている言動が、周りにどのような影響を与えるのか、常に振り返りながら行動する必要があります。
 
自分の言動によって相手の表情がくもったり、その場に微妙な空気が流れたり、相手が無理して合わせているように感じたときには、たいてい相手を傷つけ、不安にさせていると考えた方がよいでしょう。それに気づいた時には素直に謝罪します。そして、同じ行為は二度と繰り返さないようにしましょう。
 
被害者になってしまった場合、自分が感じている不快感をはっきり伝えないと、モラハラ被害が繰り返されてしまいます。繰り返しになりますが、伝えても変わらないようなら、相手とのかかわりを減らしていきましょう。
 
人間関係は、お互いの存在を尊重し、相手を傷つけないことが基本です。暴力的な言動をしないように気を付けている人は多いですが、一見わかりにくいモラハラによって人を傷つけていることがあるかもしれません。

こうした行為に気づくためには、自分の言動を常に一段高い位置から観察する意識で、自己点検をしていくことです。そして、自分が同じことをされたらどう思うかを考えることです。また万が一、相手を不快にさせてしまったら、すみやかに謝罪し、繰り返さないようにしましょう。良好な人間関係を保ち、居心地のよい環境を作っていくためには、こうした心がけを続けていくことが必要です。
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