鎌倉で新築マンションを買う人の多くが、東京23区内からの住み替えだという。先日訪ねた「ザ・パークハウス鎌倉若宮大路」(三菱地所レジデンス)で最も印象深かった話題のひとつがこれだ。ならば、地元住民でもなく鎌倉通ともいえない人間が、にわか仕込みでロケーションを語るのもいかがなものか。よって、本物件の特徴を1点に絞って解説する。他でもない、「鶴岡八幡宮」の参道「若宮大路」沿いに位置する立地である。
参道沿いのマンション
右は、「表参道ヒルズ」に付随する集合住宅「表参道ヒルズ ゼルコバテラス」のバルコニーから撮影した画像。著名建築家安藤忠雄氏は、コンクリート打ち放し仕上げで外壁を統一、専有内の設備類はストイックといえるほど最小限で、他の森ビルのレジデンスとは明らかに一線を画しているのが印象的であった。しかし、それらにも増して興味深かったのが、窓の外に広がる光景だ。片側2車線の車道にゆとりある幅員の歩道。世界の一流ブランドが軒を連ねる表参道は、年中人であふれかえる。けやき並木の眺める景色が魅力的であろうことくらいは想像できたが、一方で騒音も結構なものだろうと予想していた。が、これが意外なほど気にならなった。無論閑静とはいえないが、場合によっては窓を開けて過ごせると思ったほど。両サイドの建物がそれほど高くないため、音が上がってこないのだ。
なにより不思議な感覚に陥ったのが「表参道を上から見る」こと。画像のさらに上階では、明治神宮に向かってまるで緑のカーペットが敷かれているようで、これには感動した。ついでといっては何だが、靖国神社近くのマンションからの眺めも素晴らしかったことを追記しておく。まっすぐ伸びる参道の先には富士山がある。唯々驚くほかなかったわけだが、このように参道は一般的な道並みでは得難い魅力を内在しているものなのである。
「表参道ヒルズ」の内側は巨大な吹き抜けを取り囲むように「スパイラルスロープ」が巡っている。別名第二の表参道は、その傾斜角と全長が表参道とほぼ同一であるという。設計者はなぜそこまでこだわったのか。街の景観を司るこの道が世界のアーキテクトをして設えしめたのだろうか。
鶴岡八幡宮「若宮大路」
祭事や式事、神事といった目的を持って人は参拝に訪れる。到着直前に通過するアプローチが参道である。初詣なら、一年の無事を感謝し、新年の平安を祈願する。正月三が日の参道にはそんな大勢の人々の気が集まる場所になる。鎌倉時代に端を発する鶴岡八幡宮の「若宮大路」は、海岸線から垂直に伸びる全長およそ1.8kmの参道である。両側に松の並木を配し、三つの大鳥居を掲げ、段葛(だんかずら)と呼ばれる一段高い歩道が境内に近づいた記しだ。本宮は大石段をあがる。上から振り返ると海へ続くまっすぐな参道を鳥瞰で望むことができる。この参道沿いに立つマンションが「ザ・パークハウス鎌倉若宮大路」である。