築25年で建て替えを決断した「ホーマットガーネット」

2棟の建て替え事例「アトラスタワー六本木」

2棟の建て替え事例「アトラスタワー六本木」

「ホーマットガーネット」は1980年9月に竣工。地上7階建て、総戸数20戸のマンションである。専有面積は80~100平米中心、1996年当時の売却希望価格が坪単価で@370万円前後だから、文字通り高級億ションの分類に入ろう。場所は港区六本木7丁目、いまでいう東京ミッドタウンと国立新美術館の中間に位置している。

しかし、このマンションは現在、姿かたちを変えてしまった。地上29階建て、総戸数90戸の「アトラスタワー六本木」というタワーマンションに変貌したのである。階数でいえば3倍以上に、戸数は4.5倍に拡大している。

東京都の記録によれば、「ホーマットガーネット」の管理組合が解体(建て替え)を決断したのは2006年7月とある。竣工からわずか25年と10ヵ月だ。木造建築でももう少し耐久性があると思われる長さで、名作ブランドのひとつといわれる「ホーマットマンション」はなぜ壊されてしまったのだろうか。

初の共同建て替え事業

公開空地でゆとりのあるエントランス回り

公開空地でゆとりのあるエントランス回り

じつはこの「アトラスタワー六本木」は、「ホーマットガーネット」以外にもうひとつ、隣に建っていた「天城六本木マンション」との共同の建て替えでうまれたマンションだ。「天城六本木マンション」は「ホーマットガーネット」より9年ほど古く、2004年の時点ですでに建て替えを検討していたことから、隣同士で話し合いが持たれることになった。

さらにもう一つの敷地とあわせ、計3つの敷地が共同することで、総合設計制度を活用し、タワーマンション建設が実現。総合設計制度とは、公開空地を設け、容積率の割増が受けられる制度だ。建て替え費用の原資となる保留床の確保に容積率割増の恩恵は非常に大きい。

建て替えは最新の建築技術と設備の導入により、資産価値の向上も期待でき、また公開空地の設置は景観上のゆとりを生んで防災上の安全性にも寄与するもの。たとえ建物の寿命はまだ先だったとしても、オーナーや地域に嬉しい施策として建て替えが選択されたのだ。ちなみに所有者の異なる2棟のマンションが共同で建て替わったのは東京では初の試みであるそうだ。