2017年、新築マンションは価格上昇!?

「2017年マンション価格は下落するだろう」そんな見方が大勢だったのでは。理由は2016年以後、徐々に新築マンションの売れ行き(契約率)が陰り出したから。<東京五輪2020>後を見越し、その前から相場は下がりはじめる、果たして「それはいつか?」と誰もが予想していたことが、そんな見通しが蔓延した背景にあるのだろう。

新築マンションの契約率と販売単価(「不動産経済研究所」調べ)

新築マンションの契約率と販売単価(「不動産経済研究所」調べ)


上図は、売れ行きを示す「契約率」(オレンジ色のグラフ)と「販売単価」(青色のグラフ)。契約率は70%を目安に、市況の好不調を見分ける。たしかに、2016年以降じりじりと下がっている様子が見て取れる。直近(2017年11月)67.9%だが、前月(60.7%)はリーマンショック時(2008年9月:60.1%)と同水準。決して「売れ行きが良い」とはいえない状況だ。

一方、販売単価は上昇トレンドを崩していない。2017年11月 83.5万円/m2は、前年同月比(2016年11月 74.9万円/m2)「11.4%の値上がり」。2016年後半調整局面に入ったかのように見えた新築マンション相場は大方の予想を反して再度上昇に転じた、そう総括せざるを得ない。

新築マンションの場合、供給そのものが都心化、駅近化あるいは高層化すれば単価は上がる傾向にある。供給戸数が以前に比べ減っていることから、大型案件に数字が左右されやすいという特性も影響する。今年に入ってからの単価の乱高下はまさにその影響と受け取れる。

しかし、下図の中古マンションを見れば、やはり相場は下がるどころか上がっていると認識しなければならない。とくに都心3区は(上下動しながらも)右肩上がりの様相をみせる。

23区地区別「中古マンション成約単価」

23区地区別「中古マンション成約単価」(「東日本不動産流通機構」調べ)


城西地区だけは前年同月比で下げているが、トレンド(方向)は他地区と同様だ。トランプ相場で米国の株価は上がり続けている。日本では衆議院選挙の後に東証が急上昇を見せた。海外に少し遅れを取った日経平均のように、マンション価格(単価)も底上げされつつあるように映る。

新築マンションの売れ行きは良くない。しかし、新築中古とも価格は上昇。この市場動向を、どう解釈すれば良いのか。

キーワードは「都心」「希少価値」

某大手デベロッパー社長曰く「都心を中心に需要は底堅い。それに大規模、タワー、希少立地といった要素が加わるとどこまで高くなっても顧客はついてくる」インフレ基調だから、良いものは下がらない(または下がりにくい)といった富裕層、資産家の思惑があるようだ。都心部以外でも「郊外人気立地で駅近の物件」などは周辺相場の2割以上高い価格設定でも好評を博している例が散見できる。こうなれば、売り手としては「急いで完売させる必要があるのか」となる。利益の最大化が役割だから、デフレ時代のモチベーションとは異なった時間の使い方が求められるということだ。

一方、上記のような特徴のないプロジェクトは集客が厳しい。「マーケットに合わさざるを得ない物件もある。計画収益をあきらめ売値を調整する。その判断が遅いと損がさらに増える」臨機応変に、早めに、分譲価格を下げるという意味だ。

まったく異なる市況の混在。これが今の市場の実態である。共通しているのは、いずれも契約率が大きく改善される状況にないこと。売れ行きを示す数字は低迷しているのに価格は上昇の一途をたどる。そんな俄かに理解しがたいデータが来年も発表され続ける可能性を否定できない。

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