薬としての茶の歴史
中国茶文化協会による中国茶フォーラムでは「薬としての茶の歴史」をテーマに、岩間眞知子先生による講演が行われました。今日、私たちが捉える「薬」のイメージと、各時代における「薬」のイメージには差があるように思います。様々な成分が語られてきたお茶に関する歴史を、文献に基づき、分かりやすく解説してくださいました。
書物の中の茶
お茶について勉強したことがある人なら名前を知っている歴史上の人物や書物の数々。中国の神話に見られる茶利用のきっかけとして「神農は、人々のために一日100近い草を噛んで薬効を確かめ、毒に当たったときは、チャの葉を噛んで解毒した」とあります。また、岡倉天心は『茶の本』の冒頭で「茶は薬として始まった(Tea began as a medicine)」と述べています。日本のお茶の聖典として敬われている『喫茶養生記』の冒頭にも「茶は養生の仙薬なり。延齢の妙術なり。」とあります。このように、様々な文献からも、過去に薬として使われてきた背景を垣間見ることができます。
中国起源の薬学、薬書である本草は、漢方薬や生薬について記されているものです。中国医学薬物事典や天然薬物事典などには茶が記載されているのだそう。なぜ本草というのか? というような疑問もひとつずつすっきりしていきます。本草といわれるのは、生薬の中で草類が最も多いからで、生薬にはどのようなものがあるのかなど、受講者全員がひきこまれる内容でいっぱいです。