土佐錦は水中のバレリーナ
<目次>
高知県の天然記念物「土佐錦」
高知県の天然記念物「土佐錦」
みなさんは、金魚の種類で天然記念物に指定されている品種があるのをご存知でしょうか? すぐに全てを答えられる方は、かなりの金魚通だと思われます。それは、高知県の天然記念物「
土佐錦(とさきん)」、愛知県の天然記念物「
地金(ぢきん)」、島根県の天然記念物「
出雲なんきん(いずもなんきん)」の3品種です。
金魚は人間の手によって交配が繰り返され、現在では多数の品種が存在していますが、土佐錦、地金、出雲なんきんは、特定の地方で飼育され発展してきた、日本独自の品種なのです。地元の金魚ということで「地金魚(ぢきんぎょ)」と呼ばれ、琉金などの大量に流通している品種とは異なり、希少な品種ということがいえます。これらの品種には、それぞれ愛好団体が存在 し、種の保存を図るため飼育と繁殖が行われ、毎年品種ごとに品評会も開催されています。
土佐錦は金魚の水中バレリーナ
尾が特徴の土佐錦
今回は、地金魚の代表格とも言える高知県の「土佐錦」を詳しくご紹介しましょう。土佐錦は、その尾の美しさから、「水中のバレリーナ」や「金魚の女王」と形容されることもある非常に美しい優美な品種です。
土佐錦の最大の特徴は、大きく反転する平付け尾で、土佐錦の愛好家は、その独特の反転尾をより強くするために、当歳時より丸鉢で飼育していきます。また、餌にイトミミズを与えることによって、尖った口先と細長い顔を作りだしていきます。
結果、非常に優美な姿となり、上から観賞する と、まさに「水中のバレリーナ 」と呼ぶにふさわしい姿を見せてくれるのです。
土佐錦の歴史
土佐錦を飼育する丸鉢
土佐錦の歴史は、幕末の頃、土佐藩士・須賀克三郎という人物が「おおさからんちゅう」という品種と「琉金」を交配し作出したことから始まるとされています。その後、高知特有の金魚として、飼育されていきますが、昭和20年代の戦災と南海大地震でほとんどが死滅し、一時は絶滅かと思われました。しかし、高知県下の料理店に6匹が奇跡的に生き残っているのが発見され、それを須賀家とも親交のあった人が譲って欲しいと店主に交渉。焼酎と交換して土佐錦を手に入れ、その後繁殖を重ねた、という逸話が残っているドラマティックな歴史を持ちます。
現在残っている土佐錦は全てこの時の6匹が元となっているため、土佐錦が体質的に弱いのもこのため(血が濃いため)と言われています。その後も、高知県だけで大事に飼育され、昭和44年に高知県の天然記念物として指定されることとなりました。
当歳魚。まだ、退色しておらず、尾の反転も弱い
他の品種と比べ、飼育が難しく、長く高知県以外では滅多に見ることが出来ませんでしたが、現在では流通や飼育情報、飼育器具の発達などにより、観賞魚専門店や、金魚のネット通販専門店でも見ることが出来るようになり、金魚愛好家の間では、屈指の人気品種となっています。
前述の通り、現在では金魚飼育に関する環境が発達し、金魚飼育初心者でも、品種の特徴を知り、飼育方法をしっかり勉強すれば十分飼育が可能な品種となっています。興味のある方は、ぜひ土佐錦の飼育にチャレンジしてみては如何でしょうか?
土佐錦に関するおすすめ動画
[親魚 5位]2008年度 第1回全国土佐錦魚品評大会:浪江氏持魚(金魚的動画空間)
[土佐錦]第28回日本観賞魚フェア 親魚の部 準優勝:さがみ水産持魚(金魚的動画空間)
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