なぜ、今コレボレーション・マーケティングなのか?
業界の垣根を越えて手を組むことによって新規顧客を開拓できる!
その背景として、消費者はすでに十分なモノを保有し、これが欲しいというモノがあまりなくなっていますし、どこにでもある商品であれば、ネットで商品を検索すれば多くの店舗が結果に表れて、数多くの選択肢の中から最も条件のよい店舗を手軽に選ぶことができるようになったという理由が挙げられるでしょう。
そこで最近、この困難を極める新規顧客開拓という問題を解消するために、異業種間のコラボレーションが盛んに行われるようになったのです。
それぞれの企業がすでに持つファン客に、コラボレーションした企業の商品やサービスを紹介するだけで、互いの新規取引開始の可能性は一気に高まってきます。
もともと顧客は新たな取引を開始する際には高いハードルがあります。
「ここの会社の商品の品質は大丈夫か?」や「アフターサービスは万全か?」など、様々な項目をチェックして、納得のいく答えが得られて初めて新たに取引を開始してもいいという気持ちが芽生え始めるのです。
このような顧客の新規取引に対する高いハードルをクリアするために、一緒に取り組む企業の商品やサービスを紹介するという方法は非常に有効に働きます。
信頼のおける企業から、ここの会社の商品はお薦めですと言われれば、顧客も不安を感じることなく安心して新たな企業と取引ができるようになるからです。
たとえば、今回のビックロにおいても、店の売り場を見てみると女性をメインターゲットとしていることが伺えます。そこで、ビックカメラは今や若い女性にも人気のあるユニクロの集客力に期待して、女性向けの商品の販売を伸ばしたいという意図があるでしょうし、ユニクロにとっても多くの若い女性が集まる新宿三越アルコット店跡地に店舗を構えるビックカメラの立地は非常に魅力的だったといえるでしょう。
また、オイシックスとラッシュにとっても、オンラインに強いオイシックスと実際の店舗で根強い多くのファンを抱えるラッシュは、相互の強みで大きな相乗効果を生み出す期待が高まります。最近では“O toO”といったオンラインからオフラインへ、またオフラインからオンラインへ顧客を誘導することが売上を上げる鍵になることから、自社だけで“O toO”を実践するよりも、コストがかからず失敗するリスクを避けて事業を展開できるメリットがあるのです。
ビックロから導くコラボレーション・マーケティングを成功に導く秘訣とは?
今回の“ビックロ”プロジェクトは、見せ方が斬新で、その話題性から多くの顧客が一目ビックロを見てみようと殺到したことは間違いありません。ただ、話題性だけでは成功を長続きさせることは難しいといえるでしょう。
たとえば、ビックカメラの店舗にユニクロが店子として入っただけという百貨店やショッピングモールとはあまり変わらない売り場作りであれば、話題性がなくなれば顧客の足が遠のくことも考えられます。
やはり、ビックロが成功し続けるためには、お互いの顧客をよく知り、家電量販店とカジュアルウェアの販売店がコラボしたメリットを最大限に活かして、顧客を全フロアに回遊させる仕掛けを提供し、他の店舗では経験できないユニークな買い物体験できる売り場作りが重要な鍵を握ります。
このように、コラボレーション・マーケティングの成功の秘訣は、顧客にいつまでも新鮮で飽きないショッピング体験を提供できるかにかかっています。お互いの顧客の特性をよく知り、1社のみでは実現できない魅力的な品揃えや売り場を提供し続けることができれば、リピート率や売上点数が向上し、売上アップにつながることは間違いないといえるでしょう。