ブレンデッドの魅力を理解しよう
響17年/700ml・43%・¥10,000
悲しい。ただ、そんな客は真のウイスキーファンではない。ウイスキーファンであるならば、そういう否定の仕方はしない。ウイスキーの魅力、ブレンデッドの魅力をよく理解していない人だから、混ぜもの、なんて軽々しく口にするのだ。
わたしはバーテンダーに言う。「そういう客には、あなたはブレンドコーヒーを飲みませんか。紅茶は。シャンパンは。ボルドーワインは飲んだことありませんか」とたたみ掛けてやんなさいと。
シャンパンは黒ぶどうのピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、白ぶどうのシャルドネの3種が使われ、瓶詰め前には少量の酵母に蔗糖を加える。瓶内2次発酵を終えて澱を除去し、最後に古いワインに蔗糖を溶かしたものを補う。これは“門出のリキュール”と呼ばれているが、甘みを加える程度によって甘口から辛口まで幅広い味わいが生まれる。
簡単に言えば3種のぶどう品種を使い、シロップさえ入れているわけで、だからといってシャンパンを混ぜものの酒といって毛嫌いするワイン通にわたしは出会ったことがない。
響、バランをボルドーブレンドに想定
バランタイン17年/700ml・43%・¥9,000
ブルゴーニュワインの場合は、何種類ものぶどう品種を使うことは少ない。ほとんどが白ワインといえばシャルドネ、赤ワインといえばピノ・ノワールで、ぶどう畑の性格を明快に表現した味わいだ。ウイスキーの世界でいえばシングルモルトにたとえようか。
ボルドーワインに目を転じると、こちらは単一品種でつくられることは少ない。アッサンブラージュ(組み合わせる)といって、複数の品種をブレンドしてひとつのワインに仕上げる。
この“ワインの女王”とも呼ばれるボルドーの赤ワインのブレンドに使われるぶどう品種をわたしは響17年、バランタイン17年に使われるモルト原酒になぞらえてみた。
ぶどう品種 | 響17年 | バランタイン17年 |
カベルネ・ソーヴィニヨン | 山崎シェリー | ミルトンダフ |
メルロ | 山崎パンチョン | グレンバーギー |
カベルネ・フラン | 白州ホッグスヘッド | スキャパ |
プティ・ヴェルド | 山崎ミズナラ | ロングモーン |
ワインのコニサーの方で、ウイスキーにも愛着がある方ならば、この表だけでわたしの意図がなんとなくご理解いただけるのではなかろうか。
響17年のモルト原酒に関していえば、熟成樽が育む香味特性の違いをわたしなりにぶどう品種に当てはめてみた。あくまでイメージである。
申し訳ないが、これから後は響17年とボルドーブレンドのぶどう品種に限って述べてみたい。バランタイン17年に関しては前回記事「バランタイン17年スキャパエディション」で述べたキーモルトの役割を参照していただければありがたい。(次頁へつづく)