起業・会社設立のノウハウ/起業・独立開業の準備

起業の落とし穴!?広告・集客をしっかりと考えた起業を(4ページ目)

起業家にとって、起業後に売上を上げられるかどうかは死活問題。事前にどのように広告して集客するのか十分な検討が必要です。様々な広告・集客の方法について基本をみていきましょう。

中野 裕哲

執筆者:中野 裕哲

起業・独立のノウハウガイド

リアルの集客について検討する

リアルでの人脈形成も戦略的に行動的に

リアルでの人脈形成も戦略的に行動的に

ここまで見てきたように、どのようなビジネスでもWeb集客は非常に重要です。さらにリアルの集客方法もうまく絡めることができれば、より効果的な集客が可能となります。

1. 人脈形成型

■紹介
お客様や取引先に新たなお客様を紹介してもらう方法。安定して新規顧客を紹介してもらえるようになれば、売上が安定することを期待できます。当然のことですが、顧客を紹介してもらうにはその人との人間的な信頼関係が構築できていることが必須です。

また、既存のお客様がその商品サービスに満足していなければ、他の人にも紹介しようとは思いません。既存のお客様を大切にすることが紹介を生むコツともいえます。

■ジョイントベンチャー
ジョイントベンチャーとは、ある会社と会社がお互いの経営資源(例えば、顧客基盤など)を活用し、お互いのビジネスを拡大する手法です。例えば、
  • A社の商品・サービスをB社が自分の顧客などに紹介し、A社の売上に結びついた場合、B社に手数料を支払う
  • A社とB社がそれぞれの顧客などをお互いに紹介する
  • A社がB社に顧客を紹介し続ける代わりに、B社はA社に自社の商品・サービスを無料提供する
などの手法です。

ジョイントベンチャーの手法をうまく機能させることができれば、初期投資がほとんどかからずに売上の拡大を加速度的に図ることが可能になります。相手のメリットを最大限に考えること、相手の手間を最小限に抑えることがポイントといえます。

■交流会などへの参加
異業種交流会などに積極的に参加して顔を売り込み、新たな人脈を構築していく方法です。ただ単に名刺交換をするだけでは名刺がたまっていくだけ。自己紹介などでどれだけたくさんの人の印象に残るようなことがいえるか、自らのイメージ像をコントロールできるかが勝負といえます。

自分の業種や関心と全く関係ない交流会に積極的に参加するのも新たな人脈形成の方法としては有効です。

■セミナーの開催
セミナーを開催する方法です。自らが講師になる方法、講師を依頼する方法があります。セミナー自体の売上を期待するのではなく、セミナーはある程度の低価格のフロントエンドとし、そこからバックエンド商品につなげるような位置づけで設計することになります。

セミナーを受けて終わりというのではなく、参加者に次のアクションを起こしてもらえるような仕掛けを用意しておく必要があります。また、セミナー自体にどうやって人を呼ぶのかもポイントです。Web集客の手法と組み合わせることが必要となります。

■団体への所属
各種団体に所属することで人脈を構築していく方法です。代表的なところでは、
  • ロータリークラブ
  • ライオンズクラブ
  • 青年会議所
  • 商工会
  • 法人会
  • BNI
各種業界団体
などがあります。多大な時間を使う反面、一生つきあえるような強い結びつきの濃い人脈を形成することが可能です。

2. エリア戦略型

■飛び込み営業

対象エリアの家庭、店舗、オフィスなどを直接訪問して営業する方法。家庭向けサービス、店舗系のビジネス、オフィス向けのビジネスなどで行われることがあります。営業する者の腕にもよりますが、実際の商談に結びつく確率は極めて低い傾向にあります。他の方法に比べ、あまり効率の良い方法ではないことが多いため、安易に選択せず、じっくりと他の方法も検討するべきでしょう。

■ポスティング
ポスティングとは、チラシなどを直接、郵便受けなどに投函する方法。自社で投函する方法、ポスティング代行会社に依頼する方法があります。狭い商圏をターゲットとするビジネスでは低コストである程度の効果は期待できる方法といえます。

ただし、1日に投函できる部数には限度があること、悪天候には投函が不可能なこと、そのままゴミ箱行きになる可能性が高いこと、イメージがよくないことなど、デメリットも多くあります。他の方法もじっくりと検討するべきです。

■ハンディング(手配り)
街頭や駅前などで通行人に直接、チラシなどを渡す方法。新聞折込チラシなどに比べ、折り込み料がかからないなど低コストで配布できるのが特徴です。座っていてもお客様は来ないということで、手の空いたアルバイトなどに配布してもらうケースが中心となるでしょう。無愛想にただ配布するのではなく、店のイメージが上がるように笑顔で配布してもらうことがポイントです。

■新聞折込みチラシ
広告チラシを作成し、一定エリアの新聞に折り込んでもらい配布する方法。
  • どんなチラシを作成するか
  • どのエリアに入れるか
  • どの新聞に入れるか…日経と読売では読者層が違う
  • どの曜日に入れるか…金土日は見てもらえる可能性がある反面、大量に入るため埋もれる可能性がある
など、多くを戦略的に検討する必要があります。起業家にとっては比較的高コストな方法のため、効果が出なければ大きなコストのムダになる可能性もあります。

■フリーペーパー
ぱど、ホットペッパーなどのフリーペーパーに広告を掲載する方法。1エリア5万部程度で何エリアに配布するか、広告枠の大きさ、カラーか白黒かなどで料金が決まります。主婦など女性向けの店舗系ビジネスで効果が上がる可能性があります。

3. リスト入手・発送型

■DM

DMとはダイレクトメールの略。ターゲット顧客層に対し、手紙、チラシ、パンフレットなどの印刷物を郵送する方法。発送は自社発送、発送代行会社への依頼など。どのような層に絞り込んで送るかによって効果が大きく変わります。印刷、郵送、発送に多額のコストがかかるため、資金に乏しい起業家が費用対効果で利益を出すのは難しい傾向にあります。ただ、高額商品、リピートする商品なら検討する余地があるといえます。

■FAXDM
FAXDMとはFAXを使い、広告を配信する方法。印刷代、紙代がかからない、郵送に比べて通信費が安いなどの特徴があります。ただし、受信者側のトナー、紙を勝手に使うことになるため、クレームにつながりやすく、イメージが悪くなるリスクがあるといえます。

 

広告・集客の設計図を描く

ここまで様々な広告・集客の手法をみてきましたが、取り入れられそうなものがいくつかあったかと思います。メディアミックスの考え方も取り入れながら、自社の場合、どのような導線になるのか、設計図を描いてみましょう。図の書式はどんなものでも構いません。イメージしてみて更に集客ルートを広げることができないか検討してみることが重要です。

 

一つの方法に固執しないこと

起業時の広告・集客の成功のコツは、とにかく一つのやり方に固執せず、あれこれ試してみることに尽きます。発信方法、営業方法、チラシやWebのデザイン、価格、コピーライティングなど、今まで試してみたことがない方法を思いついたら、まずはすぐに試してみるということが重要です。起業家に与えられた時間も資金も限られています。とにかく行動しましょう。

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