快進撃を続けるマクドナルドを支える3つの指標
不況の中でも快進撃を続けるマクドナルド
2011年12月期は、純利益が前期比69.1%増の132億9800万円となり、上場以来最高を更新。また、既存店舗売上高は8年連続プラスを記録しています。フランチャイズ店舗を含めた全店の売上高は5,350億円にも上り、ハンバーガー業界では2位を大きく引き離して圧倒的なリーダーの座を揺るぎないものにしています。
この好業績を持続させるためにマクドナルドが重要視するのが、3つの指標-『顧客獲得率』、『カスタマー・リテンション』、『来店頻度』です。
マーケティング戦略を駆使して売上を拡大していくためには、まずは新規顧客を獲得し、維持し、来店頻度を高めていくことが重要になります。この売上アップのための当たり前ともいえる活動を図る指標が『顧客獲得率』、『カスタマー・リテンション』、『来店頻度』ということなのです。
そして、この3つの指標の中で、最も重要であり、最もクリアすることが困難なものが『顧客獲得率』のアップ、すなわち新規顧客を獲得することといえるでしょう。
一度でも利用した顧客に再度来店させることは、キャンペーンやクーポンなどプロモーション戦略を駆使すれば、比較的容易です。一方で、これまで利用してこなかった顧客に初めて来店してもらうことは、マクドナルドのような認知度がすでに非常に高いレベルにある企業にとってさえ難しく、顧客獲得のために様々なアイデアを考えたり、多大なコストを負担したりする必要があるのです。
また、ハンバーガー業界でいえば、マクドナルドは圧倒的なシェアを誇り、モスバーガーやロッテリアなど競合他社から顧客を奪う余地も限られてきます。そこでマクドナルドはハンバーガー業界のリーダーとして、より大きな市場に目を向けなければいけません。
マーケティング戦略の第一人者であるフィリップ・コトラー教授は、競争上の地位に応じた戦略で、リーダーは業界でのマーケットシェアの拡大だけでなく、市場規模を拡大させなければいけないと説いています。つまり、マクドナルドはハンバーガー業界のリーダーとして、業界内で下位企業から顧客を奪ってマーケットシェア拡大を図ると同時に、他業界に切り込んでハンバーガー市場自体を拡大していかなければならないというわけです。
この他業界から新たな顧客を獲得して成長を図る戦略が、この4月に発表した「3つのプライス・ライン」であり、「マックカフェ・バイ・バリスタ」といえるでしょう。
次のページではマクドナルドが切り崩しを試みる4つの業界と戦略商品について分析していきます!