京都グルメ/京都の和食

京都吉兆 嵐山本店(3ページ目)

日本が誇る和の三ツ星「京都吉兆 嵐山本店」から、保津川の「天然鮎」や「鱧」を使った夏コースの料理を御紹介していきます。「春海バカラ」等々の美麗な器たちも必見です。

執筆者:麻生 玲央

・向附1
向附

向附

お造りは2回に分けて供されますが、1度目は八寸でも出てきた「甘手鰈(淡路産)」。透き通った身が400年前の古染付の上に並べられての登場! ポン酢とカワハギの肝の2種類のタレでいただきます。


・向附2
春海バカラ

2度目のお造りは春海バカラの器で登場

そして2度目のお造りは、カット縁金舟型の「春海バカラ」の器で登場! 夏コースということで、春海バカラを出していただければ、と事前にリクエストさせてもらっていたのですが、まさかこんな立派な春海バカラでいただけるとは! 骨董(特にバカラ)好きにとっては、何よりの「御馳走」です。

お造りの内容は、「トロのタタキ(境港)」と「ツブ貝(北海道)」の2種。トロには生姜醤油と揚げたてのニンニクチップス、ツブ貝にはゴマとポン酢。
タレ

多彩な漬けダレ

先程のタレと併せると、全部で6種類もの刺身ダレが用意されたことになり、刺身に対する料理長のこだわりが強く伝わってくるようです。

やはり刺身は「山葵醤油」だけでは限界があるというか、基本的に素材毎にベストなタレがあると思いますし、素材に合わせた調味料を組み合わせてこそ、の料理。お造りは奥が深く、まだまだ進化できる余地がある、ということを教えてもらった気がします。やはり、ここまで真摯に料理と食べ手のことを考えてくださるところが、世界の三つ星の実力といったところなのでしょうね。


・焼物
焼き鮎

保津川の天然鮎

夏の吉兆で一番のお楽しみと言えば、やはり目の前を流れる保津川で獲れた「(天然)鮎」でしょう! これも焼きたてを食べるために、二度に分けて供されます。

まず一度目は永楽正全の笹皿で、焼きたての天然鮎です。30分かけてじっくりと焼き込まれた鮎は、大ぶりながら頭からガブリ!といただける焼き方となっており、この香ばしさが素晴らしい! 噛みしめる毎にふんわりと漂う、天然鮎の香りだけでも悶絶してしまいそうになりますが、添えられた「蓼酢」もまた濃厚。
吉

「吉」の文字

蓼酢は濃ければ濃いほど鮎に合うものだと確信していますので、濃い蓼酢が出てくると嬉しいものです。しかも、蓼酢を食べ終わると吹墨の「吉」字紋が現れるという趣向。
鮎

鮎が飛び出してきそうな迫力ある盛り付け

続いて二匹目の天然鮎。もちろん、これも保津川の鮎ですが、今度は鵜籠(中は炭火入り)で風情たっぷりに登場! この演出も良いですが、笹焼によって常に温められている効果もあり、単なる演出ではなく、かなり実用的な意味があるのです。

天然の鮎なので骨はシッカリとしていますが、身質はほっくりと柔らかで、天然鮎が放つ焼きたて香も素晴らしく、今年食べた鮎の中ではもっとも感動した逸品でしたね。

次ページでは、コース料理後半の御紹介です。

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