栄養管理/栄養管理の基礎知識・食事バランスガイド

ベジタリアン・菜食主義者の栄養管理法・注意点

ベジタリアン・菜食主義者が最近増えているようです。栄養学的観点からベジタリアンの健康効果と、不足しやすく注意すべき栄養の摂り方について紹介します。たんぱく質、EPA・DHA、鉄分、亜鉛、カルシウム、ビタミンB12など気になる栄養素を上手にカバーし、特に妊娠中・授乳中は工夫して栄養管理するようにしましょう。

一政 晶子

執筆者:一政 晶子

管理栄養士・米国登録栄養士(RD) / 栄養管理・療養食ガイド

ベジタリアンのメリット・デメリット

野菜

野菜には健康効果がいっぱい!

ベジタリアン(菜食主義者)が最近増えてきているようですね。一言でベジタリアンといっても、乳製品・卵は食べるが肉だけは食べないラクトオーボベジタリアン、乳製品・卵などを含めて一切の動物性食品を食べないビーガンなど様々なタイプがあります。マクロビなどもよく耳にするようになりました。今回は栄養学的にみたベジタリアンの利点や注意する点について説明します。

ベジタリアンはガイドが住むアメリカでは広く受け入れられており、レストランやスーパーなどでもベジタリアン向けの料理や食材が豊富に揃っています。大学の栄養学部でベジタリアン栄養学の講義を行っているところもあります。私が勤務する急性期病院でも、ラクトオーボベジタリアン食、ビーガン食を選択することができます。学校給食でベジタリアン食を提供するケースも増えてきています。

私もこれまで、妊娠中のベジタリアン、透析中のベジタリアン、がん治療中のビーガン、ビタミンB12が不足して神経障害が出たビーガン、子供がファッション的にベジタリアンをやって栄養不足になり困っている母親など、様々なケースのベジタリアンを見てきました。ベジタリアンには多くの健康的な利点がありますが、きちんとした栄養の知識が無いと栄養不足になって健康に支障が出る場合もあります。今回は健康効果と栄養学的に注意したい点をご紹介します。

ベジタリアンのメリット・健康効果

きちんと計画されたベジタリアン・ビーガン食は栄養学的に十分な栄養を補うことができ、心筋梗塞、高血圧、糖尿病、直腸がん、前立腺がんなど一部の病気の予防や改善に役立つと考えられています。がんとベジタリアンについては様々な研究が行われていますが、肺がん、乳がん、子宮がん、胃がんでは、ベジタリアンとベジタリアンでない人に有意差はないという見解もあるようです。ベジタリアンの健康効果は、飽和脂肪酸、コレステロールの摂取が少ないこと、そして多くの食物繊維、マグネシウム、カリウム、ビタミンC、葉酸、カロテノイド、フラボノイド、フィトケミカルを摂取できることにも関連しているようです。ただし、ベジタリアンはきちんとした栄養管理をしなくては栄養素が不足してしまうこともあります。

次のページでは、ベジタリアンの人が注意するべき栄養素である、たんぱく質、オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)、鉄分、亜鉛、カルシウム、ビタミンB12、そして妊婦・授乳婦とベジタリアンについて順に説明します。フィチン酸やシュウ酸など、特にベジタリアンの栄養管理で注目される栄養素なども含めてお話します。
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