社内コーチ制度を作るときの3つのポイント
コーチングを導入する目的と成果を明確にするのが成功の秘訣
1.社内コーチ候補者はポテンシャルが高い人を選ぶ
コーチは、今後社内で部下育成などに影響力を持つキーパーソンとなる人たちです。マネジメント能力が比較的高い人、または、トレーニングを行ったらさらに高くなるポテンシャルがある人たちを選びます。
2.社内コーチとして認定する
コーチとしてのトレーニングを積んだら、「社内コーチ」として会社から正式に認定することです。認定証を出したり、社内コーチというステータスを持たせるといいでしょう。部下へのマネジメント時間のうち、月3時間は1対1のコーチングの時間をとる、など、社内コーチとして使う時間数のガイドラインを作るとよいでしょう。
3.コーチのスキルアップのための予算を持つ
いったんコーチとして認定した人たちも、恒常的なトレーニングが必要です。年にスキルアップのトレーニングのための予算と時間を確保しておくことです。社内コーチとして認定された人には、毎年更新するための学習の機会を与えることです。
社内コーチを作るときの注意点
次に、社内コーチ制度を作る上での留意点として次の5つを上げます。
1.コーチングを導入する目的を明確にする先ほどでも述べたように、コーチングを導入する目的を明確にすることです。時には、コーチングを導入することが目的になってしまい、どんな成果や結果を得られるのかが不明確になることがあるので注意しましょう。そのためには、コーチングの成果をはかる指標を具体化しておくことです。
- 売上の増加
- 離職率の低下
- 顧客満足度の向上
2.コーチングの専門的な知識を得ること
コーチの役割を担う人は、コーチングについての専門的な知識を取得することです。特にティーチング、コンサルティング、カウンセリングとの違いについて理解しておくことが大事です。そうしないと、相手を依存的にさせてしまったり、自律性を失わせてしまうので要注意です。できればコーチングの専門機関で専門的なトレーニングを受けることをお勧めします。
3.コーチする人、コーチングを受ける人の組み合わせを特定する
一定期間、コーチングをする人とコーチングを受ける人の組み合わせを具体的に決めます。誰からのコーチングを受けたかが確実であれば、成果が明らかになります。逆に、成果が出ない場合は、その要因がコーチ側にあるのか、受ける側にあるのかも検討することができます。チームリーダーがコーチとなり、チームの3人を半年間に渡ってコーチングをするなど特定して関わります。
4.コーチングする時間と期間を決める
コーチングを行う期間といつコーチするのかの時間を決めます。例えば,毎週1回15分間を3ヶ月とか、2週間に1回30分を半年間など決めて、時間と期間を決めて取り組みます。このように決めることで、確実にコーチングが行なわれます。約束しないと、コーチングをしたかしなかったかの判断をつけることができず、効果検証することが難しくなります。
5.コーチは、メンターをつける
コーチの役割を担う人は、相談ができるメンターをつけることです。同じようにコーチとして取り組んでいる人でもいいですし、プロのコーチに頼むのもいいでしょう。自分の進め方に疑問が起こったり、どうしていいかわからなくなったら相談できるパートナーとしてメンターがいると心強いものです。
社内コーチ制度 実施時の注意点
最後に、社内コーチ制度導入で考えられるリスクについてお伝えします。■コーチングの相手が部下でない場合
社内コーチがコーチングする相手が自分の直属の部下でない場合は、次のことに注意をすること。話を聞いていく中で本人が会社の方針と違う方向に行きそうになったり、その人の上司が知っておくべき情報を聞いた場合は、本人に無断で情報を共有するのは守秘義務を破ることになりますので慎重になりましょう。最初に本人と次のようなコンセンサスを取っておくことです。
- コーチングは会社の業務の1つとして行う
- 万が一本人の話している内容を他者に伝える必要があれば、本人の了解を得た上で伝える場合があるということを約束する
コーチングを受けている人が「どうも成果を出していない」「なんだかうまくいっていない」と思ったら、すぐにコーチに伝えることです。しかし、コーチをする人が上司の場合は切り出しにくいこともあるでしょう。それを防ぐ方法として、定期的に評価表をつけて第三者に提出することです。たとえば、毎月以下の項目に5段階でチェックをつけるだけでもいいでしょう
- この1ヶ月間私は今までとは違う仕事への取り組みをした
- この1ヶ月間で新しいスキルを身につけた
- この1ヶ月間でプロジェクトが前進した
社内でコーチングが本格的に導入されれば、コーチングを受けた人が次に他の人に対してコーチングを実践できるようになります。このサイクルが続くと、組織全体がコーチングを実践するコーチングカルチャーが築かれるのです。
<参考記事>
自発性と応用力を育てるコーチング
「問い」を共有する組織は成長する
会社を救う鍵は「コーチング」
<参考サイト>
グーグルCEO「誰もがコーチをつけるべき」
(Google CEO: "Everybody Needs a Coach":英語版)
「コーチングスキルを使うこと」と「コーチをすること」の決定的な違い