リーダーシップ/リーダーシップ活用事例

「キリン フリー」を躍進させたリーダーシップ(3ページ目)

キリンビールのノンアルコール・ビールテイスト飲料「キリン フリー」は2009年4月に発売され、当初目標の6倍を超える400万ケースを販売する大ヒット商品となりました。市場はさらに拡大し続け、今もなお躍進を続けています。今回の記事は前号のマーケティング部長(当時)佐藤章さんに続き、「キリン フリー」のプロジェクトリーダーの梶原奈美子さんにインタビューをさせていただきました。

藤田 聰

執筆者:藤田 聰

キャリアプラン・リーダーシップガイド


発売後もメンバーとビジョンメイキングする

ガイド:
コミュニケーションでリーダーとして心がけてやってきたこととか、仕組み化してきたことは何かありますか?

梶原さん:

ビジョンメイキングの部分を発売以降もずっと続ける。この商品は発売してからもお客さまの中でどんどん育っていくものですし、自分たちが作った時のままではいかないとも思っていました。ロングセラーにしたいブランドですし、開発メンバーと同じようにお客さまも商品と一緒に走っている感じです。

この商品が存在してから普段使いになるまでには時間がかかりますが、お客さまの満足に応えられるよう、さらに半歩先、一歩先を考えながらやっていきたい。常に調査しながらお客さまにこんなものがありますよとか、もっとこういうふうになったらいい商品になるんじゃないですかとか、さらに先を提示する。そのために、もっとこんな商品にしていきたいというのを話すようにしています。

正式な場も大切ですが、ちょっとした時も大事ですよね。心を開いている時にそういう話をするのがすごく大切です。撮影の合間とかに、「今、実は販売状況はこういう感じですよ」とか、「最近のお客さまにこんなに面白い意見をくれた人がいるよ」など、メンバーやクリエイターとの情報のやりとりを重要視していました。

ガイド:
心が開いている時って本当にカジュアルな場面とか、何気ない時とか、あまり畏まってヒアリングがどうのこうのとかしてないときですよね。

梶原さん:
そうですね。あまりかっちりしすぎないようにはしています。あと最終手段としては、現場に行くということですね。クリエイターさんのオフィスや開発研究所がある横浜の工場に行くことで、自分たちが汲み取れなかった"働いている人の現場感"というものがすごく伝わってくる。自分もそこでまた吸収ができるんですよ。

違う分野でも、この商品すごいな!って思ったら、開発者に会いに行きます。講演に行くとか、逆に自分の講演に来て下さったら、例えば会食の場をセッティングして、普段どういうことを考えているのかを教えてもらったり。そういうことをしていると身近に感じられることが多いんですよね。

さっきの習慣のところでも言いましたけど。やっぱり情報交換……例えば目を向けていることに共感できると、勉強会しましょうね!とすごく話が盛り上がる。勘所はどこだろうとか、今のお客さまのニーズについての話とか。そういう情報交換を大事にしています。
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