色々な方と対話することで最高の商品を創り上げる
ノンアルコール・ビールテイスト飲料「キリン フリー」開発の責任者佐藤章さんとプロジェクトリーダーの梶原奈美子さん
僕はあるレベルの人同士が1対1、あるいは1対2で壁打ちをするくらいが1番エキスの濃い議論ができると思うのです。「どう?」「いや、そんなのじゃダメだよ」「こっちのほうがいいんじゃない?」「これも変だよ」という。壁打ちに含まれている濃さとか深さとか、こういったやりとりが良い物を生み出す原動力になっているのは間違いないですね。
例えば今の若者に、どうやってお酒を好きになってもらおうかという壁があるとすると、価値観のリアルなところを知っている若者と直接話す。誰とどんな話をすれば答えがでてくるだろうと考えて見つけていく。
ガイド:
なるほど、誰と壁打ちをするかということですね。
佐藤さん:
その通りです。多分こうかもしれないという仮説を作ることですね。さっきの「今の若い人にどうやってお酒を好きになってもらおう?」というのも、いや、そんな嫌いじゃないかもしれない。若者はお酒離れしてないかもしれない。習慣化というほうに問題があるかもしれない、とかね。
習慣づけするために何をしたらいいのかを見つめることは、「投げたら、こうやったら習慣化できますよ」と言ってくれる人が誰なのか探すことですよ。
「キリン フリー」の時も、最初は「飲酒運転をなくしたい」というテーマから始まったはずが、「そういえば、妊婦さんもストレスがたまるらしいんですよ」と梶原から聞く。その人たちから、ビールテイストのものを飲むことによって、こんなにまでストレスを解消してもらったという話が発売している中で寄せられてきた。
色々なメリットが色々な人から束になって合わさらないと、そんなヒットしないですよ。それらがこう折り重なってくると大ヒットになる。それは、開発当初にしていた無駄話や壁打ちが、色々な方面にわたるので、ヒットの網の目が大きくなっていくというか。あとあと生きてくるという風に信じてますけどね。
分刻みのスケジュールである佐藤さんは次のアポイントに向けて、颯爽と席を離れました。
プロジェクトを成功を導く、リーダーが心掛けるべき3か条(まとめ)
1.チームビルディング- これまで培ってきた社内外の人脈をベースに、最適な人に参画していただくこと
- プロジェクトチーム全体としてのパフォーマンスの最大化に気を配ること(適材適所の人員配置)
2.仮説思考
五感を駆使して、時代を読み取るべく、常に仮説を作り、検証していくこと。それが思考行動のクセになっていること。要素還元的なアプローチではなく、直観・洞察思考。左脳と右脳のハイブリットなアプローチが有効。THINK(考える)よりもFEEL(感じる)。
3.壁打ち発想法
仮説を作る上での有効な方法論。その市場や分野に深く関わりのある方(信頼できる人)と仮説をキャッチボールをして、検証・精緻化していく作業。
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