確定申告も年末調整も“所得税”にかかわる手続き
毎年、秋から年末にかけては年末調整、そして、年が明けて原則2月16日から3月15日は確定申告の期間です。 税金の仕組みを理解しておくことは、お金の問題を考える際にとても重要なことです。年末調整と確定申告それぞれの目的と違いを知って、税金について理解を深めましょう。<目次>
年末調整は“先払い”した所得税の精算手続き
年末調整とは、事業所等(勤務先など)が会社員や公務員などのお勤めの人、つまり給与所得者に、1~12月の1年間に支払った給与や源泉所得税についてその過不足を調整する仕組みです。所得税の納税は原則として確定申告で行います。しかし会社員や公務員の場合、給与から天引きすることで給与について所得税の税金については源泉徴収することで納税しています。これに年末調整をすることで、多くの場合は納税が終了するため確定申告が不要となります。
毎月給与から天引きしているのに、年末に調整する必要があるのかというと、源泉徴収されている所得税額の合計と本来納税する所得税額が必ず同額にならないからです。
例えば、給与から天引きによって源泉調整されている所得税額には、生命保険料控除やiDeCo・個人型確定拠出年金(小規模企業共済等掛金控除)などが反映されていません。また保険に新たに加入した・解約した場合や掛金の変更などのことまで反映されません(勤務先でこれらの個別事情まで把握できないため)。
源泉徴収は概算による所得税額のため、年末調整することで正しい所得税額を計算して精算するのです。
確定申告は儲けにかかる所得税を“後払い”する
確定申告とは、個人が1月1日~12月31日を課税期間として、その間の所得のすべてを計算して所得税額を確定し、申告・納税する手続きです。確定申告は所得税を“納める”ためだけでなく、払い過ぎていれば“還付してもらう”手続きにもなります。これを還付申告といいます。年末調整が毎月の給与天引きで源泉徴収され、税金を差し引かれて給与を受けているのに対して、確定申告は報酬を受け取った後の精算になります。
簡単なイメージで言うと、年末調整は給与天引きしながら先払いして、その額が少なければ不足分を徴収、多ければ還付(年末調整でお金が戻ってくるあれです)されます。確定申告の場合は、予定納税などをしていない限り納税は後払いですから、納税のためのお金のやりくりも重要です。
会社員や公務員でも確定申告の義務がある人、した方がいい人
年末調整したら確定申告する必要がないのかと言えば、必ずしもそうではありません。すでにご説明したように、会社員や公務員なら年末調整で済む人がほとんどです。しかし年末調整しても確定申告しなければならない人、した方がいい人について見てみましょう。
●確定申告をしなければならない人
- 給与年収が2000万円超の人
- 1事業所から給与を受けていて、給与や退職金以外の所得合計が20万円超の人
- 2つ以上の事業者から給与・賃金を受けている人など
- 高額な医療費を支払って医療費控除を受けたい
- ふるさと納税をして寄附金控除を受けたい人
- 災害の被害を受けて、前年の給与に源泉徴収税額の徴収猶予・還付を受けた人
- 前年の途中で会社を辞めたため、年末調整を受けていない人
- 家を購入して1年目、はじめて住宅ローン控除を受ける人。2年目以降は年末調整で手続きが済む
- 株などの取引で損が出て、繰越控除や損益通算をしたい人
- iDeCo(個人型確定拠出年金)に新たに加入したなど
iDeCoや新たに生命保険などに加入した場合、加入時期によっては控除ハガキが届くので年末調整で手続き可能です。加入のタイミングによっては間に合わないこともあるので、その場合には確定申告が必要になります。
年末調整に慣れていると確定申告は面倒でしょうが、下手な節約よりもはるかに効果的です。お金の貯め方、増やし方なども大事なことですが、税金はお金を語る上で欠かせないものです。年末調整と確定申告のポイントと違いを知って、自分の家計管理に生かしてください。
マイナンバーはいつの年末調整や確定申告から影響?
マイナンバーは2016年分からの所得に対する所得税から、税金の手続きに関わってきています。確定申告などでマイナンバーの提出をしていない人もいるかもしれませんが、2019-2020年の年末調整・確定申告でも原則として提出が求められます。確定申告では前年にマイナンバーの提出をしている人も毎年提出が必要です。確定申告をする人は毎年面倒に思うかもしれませんが、お金を稼ぐことと同じくらい税金の支払いも重要なことです。年末調整と確定申告の違いを知って賢く納税しましょう。
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