京都グルメ/京都の和食

飯田 (京都・中京区)(2ページ目)

昨年、姉小路通りに開店した日本料理店「飯田」。強いこだわりが生み出す料理と、珠玉の器が織り成す料理世界は、まさに「食べる芸術」。今回は冬限定の「蟹コース」を御紹介していきます。

執筆者:麻生 玲央

冬限定の蟹コースから御紹介

日本酒リスト

この日は何と黒龍の二左衛門までありました! とても魅力的な揃え方です

冬限定の蟹コースは通常コースに2000円前後の追加料金(時価)となり、以下の蟹コースは1万5000円+追加料金の蟹コースとなります。

尚、「飯田」さんは料理写真を「非公開」とされていますので、今回は料理写真なしで御紹介します。御了承くださいませ。


・「ゆず湯」


・「雲子の羽二重蒸し」
雲子と出汁だけで仕上げられた羽二重蒸しは、蕩けるような柔らかい食感の中に静かな滋味を感じる一品。萩焼の器との一体感も絵になります。


・「蟹しんじょうと蕪の椀物」
蓋を開けた瞬間に立ち昇る「鰹」の薫香がとても印象的。日本酒の大吟醸のように、鰹節の中心部のみを使用した削り立ての風味は、薫り高いだけではなく、活き活きとしたクリアなテイストなのです。


・「ふぐの身の白子かけ」
ここで何と「北大路魯山人」の器が登場です! 「器は料理の着物」という言葉通り、もうこの料理(盛り付け)以外は考えられないぐらいにピッタリと美しく決まっており、日本料理の粋と奥深さを改めて魅せつけられた一品でした。


・「氷見の鰤を使った握り」
ここでまた「北大路魯山人」の器! 今度は辛味大根を乗せた「鰤の握り」です。ご主人の飯田さんが初めて料理の世界に入った時のお店が鮨屋だったこともあり、コースの中盤で「握り」を出されているのです。写真をお見せできないのが残念なくらいに、器と握りが渾然一体の相性でしたが、こういう器使いのセンスは、飯田さんが長きに渡って器の勉強をされ続けてきた経験の高さの表れでしょう。しかも魯山人クラスの器を惜しげもなく使われる気前の良さも、さすが。やはりどんな凄い器も「使ってなんぼ」ですからね。料理でも器でも両方で楽しませていただけるのは嬉しい限り。


・「車海老の藻揚げ」
今回のコースで、もっとも心に残った一皿が、この「車海老の藻揚げ」。ジャガイモの千切りを乾燥させ、それを衣にして揚げた「藻揚げ」は、見た目のユニークさはもちろん、食感が独特なんです。飯田さんが金沢時代に習得された料理を、さらにアレンジした逸品で、フレンチの「カダイフ揚げ」に似てますが、味わいは全くの別物。これは是非ともまた食べてみたいですね。尚、器は織部風の黄瀬戸。


・「焼き蟹」
そして、ここで冬の味覚「津居山の蟹」が炭火焼で登場です! まず切り分けて2回にわたって供されるのですが、まずはその大きさに驚かされます。しかも、デカい上に、身質が甘く、その質の高さと、それを活かした火入れもまた絶妙。これを楽十一代の「慶入」の木の葉皿で供されるわけですから、まさに口福の極み。

これだけ大ぶりで上質な津居山の蟹を仕入れるだけでも大変なことだと思いますが、その蟹をこの価格帯で出せるというのは凄い。私の知る限り、このコース価格でこれだけの上物の松葉蟹を出してくださる店は他に知りませんね。女将さん曰く「冬の(蟹の)時期が一番オススメなんです」と言われるだけあり、蟹は儲け度外視のような豪快な内容。これは私のような蟹好きな人には堪らないでしょう。

また付けタレが「蟹ミソ」と「三杯酢」の2種類が用意されていて、この「蟹ミソ」のほうの濃厚な味わいが素晴らしい! たっぷりの蟹ミソを気前良く使用したタレは、タレというよりも蟹ミソスープのような仕上がりなのです。これは実に酒がすすみます。


・「燻した牡蠣、カラスミ大根、海鼠酢」
牡蠣は京番茶で燻してあり、香りが面白い。カラスミ大根も海鼠酢も円やかなテイストが良いですね。尚、使われている器は清水六兵衛(3代目)の蓮華型の皿。これも面白い使い方でした。


・「炊き合わせ」
永楽即全の赤絵の蓋物に入っているのは、丸大根と京菊菜と厚揚げ。上品に拡がる滋味が心地良い、ホッとする味わいが見事。


・「佐久の白御飯」
大粒で甘味(旨味)の強い佐久の米は、ご主人が自ら厳選して選ばれたもの。
本当に良い米だからこそ、混ぜ御飯ではなく「白御飯」でそのままの美味しさを味わってほしい、という飯田さんのこだわりが、一口食べる毎に伝わってきますね。日本料理というか、日本の食文化の原点。その本来の魅力を佐久の米が教えてくれているようでした。

尚、飯椀は即全、漬物皿は保全という構成! これまた何とも気前の良い器使いです。


・「水物」
焼きリンゴとバニラのアイスが、清課堂の特注錫皿で登場です。温度差が愉しい構成でした。


・「水菓子」
続いては、自家製の「粟餅」! 中の「あずき」も一日寝かせた自家製餡子で、最小限の砂糖だけで作られた餡子は、とにかく上品で繊細。最後に出された薄茶も抹茶椀ではなく、小ぶりの器(清の時代の白磁)が使われており、抹茶を飲み慣れていない人にも飲みやすい親切仕様。こういった最後の最後まで続く心配りに感服です。

 

強いこだわりが生む味 

飯田さん御夫妻

飯田さん御夫妻

祇園の料亭で出会われたという、和服がよくお似合いの奥様曰く、「こだわり、思い入れが強く、凝り性で妥協を許さない性格です。家でも勉強ばっかりしているんですよ」とのこと。

そんな強いこだわりから何もかも一人でやっておられるご主人。今回独立されたからこそ、そんな努力が凝縮した料理・器・室礼という結果を、限られた数の客だけがこの町家での夕餉で味わえることになったのです。表の姉小路通からは窺い知れない和の空間で、飯田さん御夫妻の二人三脚で創り上げる濃密な世界を堪能できる食の時間は、何とも得難く贅沢で幸せな対話の時間となることでしょう。


<DATA>
・店名: 飯田
・所在地:京都市中京区姉小路富小路西入ル南側
・アクセス:京都市営地下鉄「烏丸御池」駅 徒歩約6分
・地図:Yahoo!地図
・TEL:075-231-6355
・営業時間:18:00~20:00(LO)
・定休日:不定休
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます