今年開店した、新星料理店「飯田」

「飯田」の外観

「飯田」の外観

京都で食事処を選ぶ時、味はもちろんですが、大きな比重を占める条件は「今まさに京都で食べているのだ」と満足できる「心のごちそう感」だと思うのですが、如何でしょうか。今日はそんなハードルを軽々と越えて、じみじみと京情緒を感じられる新進気鋭の新星料理店をご紹介しましょう。

祇園祭りの山鉾巡行路である御池通と、歴史的近代建築が建ち並ぶ三条通に挟まれて平行に走る姉小路(あねやこうじ)は、賑やかな上下の通りと比べると、
昔ながらの町家も数多残る落ち着いた通りと言えましょう。この通りの「富小路西入る」にあった茶道具商宅が、雰囲気はそのままに、つい最近料理屋に生まれ変わったのです。その名は「飯田」。 

ご主人は埼玉県出身で、金沢での修業を経て、長きにわたり京都の数々の有名料亭で腕を磨かれ、35歳にしてついに独立を果たされた飯田真一さんです。
個室

個室もあります

店を入って、まず印象的だったのは、玄関を入った時からまるで大正・昭和の時代からの老舗のような雰囲気をたたえているところ。カマチ上がりにぱっと目を惹く鍋島段通、それを踏みしめながら左に曲がると5席のカウンター、その奥に控える坪庭、そして庭を囲む廊下伝いの左奥には、まさに「籠りたくなる」四畳半の座敷。掘炬燵式の無垢のケヤキの大座卓を前にしっとりと寛げるこの座敷こそ「心のごちそう感」をたっぷり与えてくれる空間なのです。

今回はこの奥座敷で戴きましたが、床の間には季節を先取りした鬼洗い(厄払い)のお軸、天井の意匠や塗り壁、床の間横の引き戸の取っ手に至るまで、相当な普請道楽であったと推察される茶道具商の作り上げた空間は「ここはほんまもんしか受け付けまへん」と語り掛けてくるかのようです。

次ページでは、冬限定の「蟹コース」を御紹介します。