シリーズ-趣きのある建物 その2

ご自身で床張りまでされたという、手作り感のあふれる店内です
ご自身で床張りまでされたという、手作り感のあふれる店内です
前々回の記事から始めたこのシリーズ。第1回目は、出町柳のフレンチレストラン「エピス」。今回も京都から、古民家フレンチをご紹介です。お店の名前は「ア・プ・プレ」。

店名は、フランス語で「少し近い」という言葉が転じて「だいたい」という意味。町家、それもテーブルや床までシェフとサービスを務める旦那様とで手作りしたという、一風変わった空間で、肩肘張らずに食べてもらいたいからと付けた名前だそうです。


「エピス」をご紹介する際に、町家フレンチが変わってきたことは書きました。もはや町家というだけでレストランが流行るわけではない時代になっています。「エピス」が古民家というシチュエーションを取り込んだ、優しさ・京都らしさのあるコンセプチュアルなレストランであるのに対して、今回ご紹介する「ア・プ・プレ」の特徴は、町家で本場のフレンチを再現していること。

「ア・プ・プレ」が生み出す料理の幅

「Les Gourmets」でも定番だったという、クラシックなウッフ・アン・ムーレット(玉子のワイン煮)にアレンジを加えて
「Les Gourmets」でも定番だったという、クラシックなウッフ・アン・ムーレット(玉子のワイン煮)にアレンジを加えて
竹村シェフは、フランス・ディジョンの一ツ星、「Les Gourmets」での2年半を中心に、「Stephane Derbord」など計5年間、フランスで修業を積み、07年9月にこちらをオープン。特に「Les Gourmets」、日本語に訳せば「食通」というところでしょうか。王道的なレストランの名前と同じように、料理も王道クラシック系のものだったそうで、「ア・プ・プレ」の料理にもフランスの、それも地方の星付きレストランの輪郭があるのです。

個性的なじゃばら開きのメニュー
個性的なじゃばら開きのメニュー
その理由は、まさに「ア・プ・プレ」。世界に誇る繊細な民族、日本人シェフの作る料理は、しばしば繊細すぎると感じることがあります。それに比べると、フランスのフランス料理は豪放大胆。良くも悪くもアバウトな部分を含んでいると思います(もちろん「ケザコ」のステファン・パンテル氏のように、とても繊細な料理をするフランス人もいますが)。

こちらの料理には、良い意味でのアバウトさが感じられます。その結果、日本、特に京都の懐石風フレンチとは明らかに一線を画した、濃厚で大胆な料理となっているのです。その出自は、間違いなくシェフがフランスで体得してきたもの、すなわちフランスのアバウトさ。その結果として、京都フレンチに料理の幅を生み出しているのです。

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