次世代の日本料理店「白川たむら」

白川たむら

この看板の文字は田村さんのお父さんが書かれたものなのです。

「京料理」といえば、その季節ならではの素材を使い、綿々と受け継がれてきた手法と味付けでベテラン料理人が作る伝統的な料理が思い浮かびますね。ことに少し季節を先取りした京料理を京都の中の京都とも言える祇園で食べることは、京都を旅する方々にとって何よりの楽しみではないでしょうか。

伝統にのっとった料理を戴くと「あぁ、京都に来た」と安堵するのは確かですが、最近はその伝統を踏まえた上で、敢えて新しい手法と味付けを大胆に取り入れ、新しい日本料理の可能性を作り出そうと奮闘する次世代の料理人さん達も増えてきました。

その一人が、田村尚重さん、現在38歳。ミシュラン3ツ星の日本料理店を始め、京都の名店で修業を積まれた後、ミシュラン3ツ星レストラン「Fujiya1935」で和ではなく洋の手法と味付けを学ばれ、今年(2014年)6月、骨董通りとして名高い祇園の新門前通界隈に「白川たむら」を開店されました。店は新門前通から北へ上がった白川に架かる「たぬき橋」の少し手前にあります。

内装

卵の殻に包まれたよ うなアーチ型の天井部分が印象的

細いアプローチの先、左側にある玄関を入ると、正面には平山郁夫画伯のリトグラフがさりげなく掛けられ、右手に進むと正面に6名までの個室、左手に8~9名掛けのカウンター席。カウンターは麻布の上から塗りを掛けたという職人技が光るもの。カウンター席の部屋は「卵の殻に包まれたような」というご主人のコンセプトを建築家の木島徹さんが土壁と無垢の木で形にされ、アーチを描く天井が印象的です。正面には眼の高さに設えられた、一幅の絵のような坪庭。静謐な洗練に包まれる空間になっています。

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