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退職金課税見直しで天下り見直しより重要なこと(3ページ目)

退職金の課税強化が検討されています。天下りの「渡り」をこらしめるのは結構ですが、退職金課税にはいくつか問題があります。「2010年モデル」の退職金課税はどうあるべきでしょうか。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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一時金だと先ほどから説明の退職所得控除の計算で課税するのですが、年金受け取りをすると、国の年金と合算して公的年金等控除の対象となって、確定申告になってしまうのです。
このとき、国の年金の非課税枠は縮小しており、国の年金を受け取った時点で課税対象となっている人が多くなっているため、会社の企業年金分については基本的に全額が課税対象となります(控除はありますが全額控除されるわけではない)。

そのため、年金を選ばず、一時金を選ぶ人が増えています。これも「生活の知恵」といえるでしょう。ほとんどの会社では選択できるようになっているため、税金がかからないほうを選ぶのは当然だからです。

しかし、公的年金が不安になる現代においては、「企業年金」受け取りを国民に促す税制が必要なのではないかと思います。要するに「一時金」も「年金」も同じ会社からもらうお金ですから、税金のかけかたが同一であるべきというわけです。

筆者は、一時金の退職所得控除の枠をそのまま年金受け取りの非課税枠に転用できる「企業年金等控除」があってしかるべきだと考えています。むしろ年金受け取りの非課税枠のほうが大きくてもいいくらいです。

■   ■

退職金の課税、というのは、ほとんどの人が自分に関係ない遠い先の話なので、ぴんとこないかもしれません。
しかし、退職金に税金をかけて国の国庫を豊かにした結果、国民が皆貧する、というのでは困ります。結果として国は国民の生活を支えなければいけなくなるので、国の負担が増えるおそれすらあります。

見かけ上きれいな「天下りにペナルティ」とか「高所得者へペナルティ」というような言葉の裏で、みんなが等しく厳しい状況にならないよう、税制改正の動向を見守っていきたいところです。
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