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退職金課税見直しで天下り見直しより重要なこと(2ページ目)

退職金の課税強化が検討されています。天下りの「渡り」をこらしめるのは結構ですが、退職金課税にはいくつか問題があります。「2010年モデル」の退職金課税はどうあるべきでしょうか。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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そもそも、年数に応じ、勤続の期間が長いほど、退職金の税制優遇の金額は大きくなる仕組みなのですから、長期勤続に差をつける必要はないはずです。
多くの人は好んで転退職をするわけではありません。職場の環境に悩んだり、もっとやりがいのある仕事を求めて退職を決断しているのです。むしろ「勤続年数に関係なく“1年あたり60万円”の非課税枠」というように一本化するのが現代的な退職金課税の考えとして適切だと思います。

短期で辞める人の退職所得控除が小さくなるようなペナルティを国がこれ以上設定する必要はありません。
今回の「渡り」対策が、短期で会社を辞めた人全員が不利になる改正にならないことを期待したいところです。

2分の1課税がおかしいのか?

報道をみると時々、外資系の会社などで給与を少なくし、退職金を多くするような調整をして、結果として課税額を減らす人がいる、というような文章をみかけます。

退職金は実際の受取額から非課税額(退職所得控除)を引き算し、さらに2分の1したものが課税対象となります。要するに受取額にそのまま税率がかかるわけではないのです。ほとんどの人は全額非課税になるか、かかってもあまり税金を引かれずにすみます

そもそも、給料と退職金の割合を強制する法律はないわけですから、そうした調整を外資系の会社がやっているとしたら、これはむしろ「生活の知恵」であって、責められるいわれはありません。むしろ会社と社員がいい条件についてしっかり話し合っている「良い会社なのかもしれません。
社員も、もしかしたら全額退職金をもらえないリスク(会社がつぶれた場合など)を抱えつつ、目の前の生活費とバランスをとりつつ、毎月の給与を考え、退職金額を考えているわけです。それほど責める必要があるのでしょうか。

どうやら「渡り」対策として2分の1課税を認めない案があるそうです。「渡り」の人が2分の1優遇を利用できないのはかまいませんが、外資系の会社員の例などを引き合いにして、会社員全員にその適用を拡大しないようにはしてほしいものです。

年金受取(企業年金)に課税されて一時金は課税されない?

最後にほとんど指摘されていない議論として「企業年金」の話題があります。会社が用意する退職時の給付には「一時金」と「年金」があります。どちらも会社が準備して退職後に支払ってくれることは同じですが、課税の考え方は異なります。
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