パーソナリティ障害とは……人格や気質によっては日常生活が困難なことも
人の個性・性格は多種多様。元の性質によっては、スムーズな日常生活が困難なこともあります
なお、パーソナリティ障害はかつて「人格障害」と言われていましたが、近年疾患名が改められています。古い文献で「人格障害」とあった場合、現在の「パーソナリティ障害」を指すものとして、続きを読んでみてください。
パーソナリティ障害の種類・特徴・症状
パーソナリティ障害には、その理解を助ける、基本的な分類があり、パーソナリティ障害はそのタイプにより、大きくA群、B群、C群の3つに分けられています。各々の群でリストアップされている診断名の中から、そのどれかをさらに詳しく知りたい方はその「診断名」をクリックすると、症状や治療法に関する情報をご覧頂けます。■A群……統合失調症的な要素があるパーソナリティ障害
独特の思考法、生活様式のために、対人関係がうまくいかなくなってしまうこともあります。風変わりな人と思われることも少なくありません。
A群に分類される疾患
「統合失調質パーソナリティ障害」と「統合失調型パーソナリティ障害」は非常に似た病名ですが、そのタイプははっきり異なります。一例ですが、社食で自分にとっての定番メニューが廃止された場合、心の中でその献立をお腹いっぱい食べることを空想して、ショックを和らげようとするのは統合失調質パーソナリティ障害的な発想に近い面があります。これに対し、「仲の悪い同僚が呪いをかけたせいだ……」と真面目に考えるような魔術的思考がある場合は、統合失調型パーソナリティ障害的な発想があるといえそうです。
■B群……感情が不安定なパーソナリティ障害
ストレスに弱く、情緒が激しい面があり、周りの人を振り回してしまうことも少なくないはずです。
B群に分類される疾患
- 反社会性パーソナリティ障害 ※以下で詳述
- 境界性パーソナリティ障害 ※以下で詳述
- 演技性パーソナリティ障害
- 自己愛性パーソナリティ障害
■C群……不安や恐怖心が強いパーソナリティ障害
周りの目や自分に対する評価が強いストレスになりがちです。
C群に分類される疾患
以下で、パーソナリティ障害の一例をご紹介します。
境界性パーソナリティ障害と反社会性パーソナリティ障害
B群に分類される境界性パーソナリティ障害は、若い女性に多く、人口の約1~2%がそうだともいわれています。感情が不安定になり、衝動的になったり、予測しにくい言動がありがちなので、家庭や仕事面など生活全般にその悪影響が及びやすく、特に対人関係において、良好な関係を保つことが難しくなりやすいです。詳しくは、「境界性パーソナリティ障害の特徴・原因・症状」をご覧ください。通常は、外来通院で、心理療法、薬物療法などで問題に対処していきますが、もしも自殺リスクが認められたり、 現実認識が顕著に低下している場合など、入院治療が適切になる場合もあります。詳しくは、「境界性パーソナリティ障害の治療法」をご覧ください。
同じくB群の「反社会性パーソナリティ障害」は、男性の方が女性の約3倍も多く、その頻度自体は人口の2%前後と推定されています。特徴は、簡潔にいえば、いわゆる社会的な規則を守りにくいという面での「反社会性」です。社会的常識に照らし合わせて見たとき、規則を守るのが極端に苦手だったり、自己の利益のために平気で嘘をついたりするような行動が現れやすくなっている背景には、脳内の機能に、過去の外傷などのために何らかの微妙な問題が出ている可能性は、これまでよく指摘されている問題です。この疾患の詳しい話は、「反社会性パーソナリティ障害の特徴・症状・治療法」をどうかご覧下さい。
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