境界性人格障害

境界性パーソナリティ障害の主要な治療法は薬物療法と心理療法の2つ。気持ちの落ち込みなどの症状に対処すると同時に、感情のコントロール向上を訓練します

境界性パーソナリティ障害になると、感情や意志のコントロ-ル力に問題が生じてしまうため、簡単に怒りを爆発させたり、衝動的に何かをしてしまいやすくなります。仕事や家族などの対人関係を含め、日常生活全般に問題が生じてきます。

今回は境界性パーソナリティ障害の主要な治療法である薬物療法と心理療法について詳しく解説します。


境界性パーソナリティー障害の薬物療法

境界性パーソナリティ障害で見られやすい以下のような症状には、薬物療法で対処します。
  • 気分の落ち込み
  • 不安感
  • 衝動性
  • 怒りの感情 
  • 現実認識の低下
具体的な治療薬は、薬との相性、全身の健康状態などを考慮して、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬などの中から処方されます。一般的には、気分の落ち込みに対しては抗うつ薬が、不安が強い場合は抗不安薬が、現実認識が低下している場合は抗精神病薬が処方されます。

境界性パーソナリティ障害の心理療法

心理療法は、境界性パーソナリティ障害の中心的問題である感情や衝動のコントロール問題に対処すると同時に、日常生活で生じている問題、特に、対人関係のスキル向上を目的として行います。通常、心理療法だけではなく、上記の薬物療法を組み合わせることで、治療効果がより高くなります。

具体的には、医師やカウンセラーとの会話や、与えられた課題を通じて、他人からの批判など、心を不安定化する状況へ耐性をつけます。同時に、心が不安定になった時に衝動的にしてしまいやすい衝動買い、飲酒、大食などの行為を、他の問題になりにくい行為に置き換えられるよう訓練します。

感情や衝動のコントロール問題は、医師やカウンセラーとの関係においても現われやすいので、治療そのものにイライラしてしまったり、信頼関係をうまく築くのが難しかったりと、心理療法を難しくしてしまうこともあります。しかし、治療中に現われる問題点は、自分の感情の不安定さが如何に対人関係を阻害するかを理解するきっかけにもなるので、治療において医師やカウンセラーとの対人関係を良好にすることも、一般的な対人関係を良好にすることへの第一歩ともなります。

境界性パーソナリティー障害の入院療法

境界性パーソナリティ障害では、外来での通院療法ではなく、以下のように入院療法が望ましい場合があります。
  • 自殺のリスクがある
  • 自傷行為がコントロール困難である
  • 現実認識が顕著に低下している
入院中は、集中的に薬物療法、心理療法を受けることができ、同時に、アルコール依存など境界性パーソナリティ障害に伴いやすい問題に対処できるという利点があります。さらに、家族など周囲の人との深刻な軋轢が症状を悪化させているような状況では、入院することで、それまでの環境から避難できる場合もあります。

以上のように、境界性パーソナリティ障害は薬物療法、心理療法によって治療しい、時には入院が必要となる場合があります。しかし何といっても重要なことは、できるだけ早期に治療を開始することです。もしも人間関係でトラブルが起こりやすく、境界性パーソナリティ的な気質を有していると気付いた場合は、生じている問題の深刻度に応じて、精神科(神経科)で相談することを考慮してみましょう。
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