人と適度な距離感を保てないと、人間関係がストレスになることも
友だちなのに、一緒にいると苦しくなっていくのはなぜ?
人間関係のストレスは、家族や友だち、恋人同士、職場など、とても身近な人との間で感じることが多いのではないでしょうか。
職場の場合は「同僚と飲みに行くと、愚痴ばかりになってうんざり」、友だち付き合いの場合は「表では仲良くしているのに、陰では悪口の言い合いばかりでいやになる」、近所付き合いの場合は「親しくなるにつれて互いの家庭事情がまる見えになり、息苦しい」、このようなストレスを募らせている方も多いかもしれません。
「孤立したくはないけど、ベッタリ付き合いたくもない」「仲良くしたいけど、愚痴や悪口ばかりの関係にならないようにもしたい」。このように、気持ちのいい人間関係をどのように保っていけばよいのか、頭を悩ませている人は少なくないように思います。
人との距離感を適度に保つ4つの方法
では人間関係において、適度な精神的距離を維持していくためには、どのようなことを心がけるとよいのでしょう。次の4つを意識していくことをおすすめしたいと思います。1. 長時間、同じ人と過ごさないようにする
「仕事の時間」が長いなら、「個人の時間」も十分に確保できるようにしよう
仕事や学校の場合、朝からずっと一緒にいるのに、昼休みも一緒に。仕事や学校が終わっても同じメンバーと夜まで一緒。休日も一緒。このような関係が続いていたら、いくら仲が良くてもいずれはうんざりしてしまうのも、無理はありません。
公的な時間を共有するのは仕方がないことですが、せめて休憩時間や休日などのプライベートな時間には、個人で過ごせる時間と空間を十分に確保できるようにしていきましょう。
2. 「すべて」を自己開示しない
成育歴から家庭の事情、恋愛遍歴からコンプレックスまで……。このようにお互いの「すべて」を分かち合わなければ、真の友情を築けないと思いこんでいないでしょうか?
たしかに、胸襟を開いて自己開示(自分の情報をありのまま伝える)しあえば、お互いを身近に感じて精神的な距離感がぐっと近づきます。でも、自己開示をしすぎると、その話を聞いてくれた相手に対して、過剰な依存心が生じてしまうことがあるため、ほどほどにしておいたほうがよいのです。
相手の個人的な事情を知りすぎて負担に思う人、自己開示しすぎて「他人に弱みを握られた」とあとから後悔する人もいます。個人的なことをあけすけに伝えすぎないようにしましょう。
3. 「同調的」な会話をしない
同調的な会話は、人間関係への依存を深める
たとえば、愚痴を言った相手に対して「それはひどい! 許せないよね!」「頭にくるよね!」「やめちゃえ! 別れちゃえ!」などと、相手の感情に同調してあげることこそ、親切だと思っている人は少なくないかもしれません。しかし、この同調の一言が相手の気持ちを煽り、「火に油を注ぐ」状態にしてしまうことがあるため、危険なのです。
相手が愚痴をもらしたときには、同調ではなく「つらかったね」「落ち込むのも無理はないよね」というように、共感の範囲に留めておくようにしましょう。
4. 「3点確保」の活動拠点を持つ
活動の拠点が「家庭」と「地域のサークル」だけ、「家庭」と「職場」だけ、「家庭」と「学校」だけというように2点程度に留まっていると、その範囲の人たちとの人間関係が濃厚になりすぎて、息苦しさを感じやすくなってしまいます。これを回避するには、活動の拠点を分散させるのがいちばんです。
登山やロッククライミングでは、身の安全を守るために「3点確保」という体勢をとります。「両手と片足」「片手と両足」というように支点を3カ所に分散させることで、崖から墜落しないようにするのです。人間関係のストレス対策にも、この「3点確保」の考え方を取り入れて、リスクを分散させるとよいでしょう。
たとえば、「家庭」と「地域のサークル」の人間関係に息が詰まっているなら、それらとはまったくつながりのないサークル活動にもう一つ参加してみる。「家」と「職場」だけの関係に留まっているなら、趣味の活動で新しい仲間を増やしてみる。「家」と「学校」だけの関係に疲れているなら、それらとはまったくつながりのないボランティアなどの活動に参加してみる。
このように、まったく異なる活動の拠点を3点以上設けていくと、それぞれの人間関係の問題に煩わされず、どの拠点でも適度に距離を取りながら、付き合うことができるようになります。
身近な人々との関係は、細く長く大事に続けていきたいものです。大切な人間関係をストレスのタネにしないためにも、上記のヒントをぜひ活用していただければ幸いです。
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