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りんごがビタミンCの補給におすすめの理由

【NR・サプリメントアドバイザーが解説】りんごには、ビタミンC含有量が少ないのに体内のビタミンCを増やすという不思議な作用があります。他にも中性脂肪を減らし、生活習慣病予防に役立ち、加熱すると整腸作用も期待できるなどの作用も。詳しく解説します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

リンゴの栄養は意外と少なめ……健康効果が高いイメージはなぜ?

リンゴを食べると、体内のビタミンCが増量します。

リンゴを食べると、体内のビタミンCが増量します。


西洋では「1日1個のリンゴは、医者を遠ざける」ということわざがあるなど、古くから世界各地で健康づくりに役立つ食べ物とされてきました。でも実際に、ビタミンやミネラルなどの栄養を他の果物と比較しても、リンゴは、それほど優れているわけではありません。

けれども、いくつかの報告では体内のビタミンCを増やすという、リンゴには不思議な作用もあるのです。低カロリーでカリウムや食物繊維も多くダイエットや生活習慣病予防に役立つなど、旬の今の時期においしくいただきたいフルーツです。
 

りんごはビタミンC含有量は少ないが、体内でビタミンCを増やす

リンゴには、ビタミンCはわずか4mgしか含まれていません。私も、以前栄養成分表を見て、「あれっ、リンゴって、こんなにビタミンCが少ないの?」と意外に思ったことが印象に残っています。
 
リンゴ,果物,栄養価

リンゴと他の果物の栄養価比較


上の表を見てもわかるように、リンゴは他の果物と比べてビタミン、ミネラルが多い果物ではありません。ビタミンCは少ない果物といえるでしょう。しかし不思議なことに、リンゴを食べることで、体内のビタミンCを増加させる働きがあるという研究報告もあるのです。

少し古い研究報告ですが、独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構 果樹研究所で2000~2001年に行われたヒト介入研究の結果では、リンゴ摂取(1日1.5~2個・3週間)により、血中の中性脂肪が減少し、血液中のビタミンCがリンゴを摂取すると34%も増加しました。また腸内の善玉菌も増加しました。

被験者14人(平均45才)に1日1.5~2個(360~480g)のリンゴを3週間毎日たべてもらい、血液中のビタミンCを測定しました。また、リンゴ非摂取期間を前後各2週間もうけ、リンゴ摂取期間と比較しました。その結果、リンゴを摂取すると、血液中のビタミンCが摂取前より34%増え、摂取を中止すると減少しました。

サプリメントを愛好する人の中には、食べ物よりも栄養価や機能性は高いし、食事をしなくてもいいので忙しい現代人には便利という人もいるのですが、ガイドはそんなに単純なものではないと思います。

ビタミンCや、食物繊維、ペクチンなど、リンゴに含まれていると思われる成分を単純に混ぜたからと言ってリンゴになるわけではありません。有効成分を濃縮したサプリメントなどをすべて否定はしませんが、食べ物にはまだまだ人間には未知なる成分や働きがあり、様々な成分が作用し合ったり、相乗効果をもたらしたりしています。また同等の栄養価だとしても、錠剤を飲み込むだけの食事と、香りや食感を五感で楽しむことがもたらす食べ物として摂取することの大切さを、改めて感じました。
 

注目されるリンゴポリフェノール

リンゴポリフエノールは、中性脂肪を低減したり、がん予防など、様々な効用が期待されています。

リンゴポリフエノールは、中性脂肪を低減したり、がん予防など、様々な効用が期待されています。


リンゴに含まれている栄養成分の中では、リンゴポリフェノールが、生活習慣病予防やダイエットに役立つのではないかと注目されています。リンゴには、プロシア二ジン、カテキン、エピカテキン、クロロゲン酸、ケルセチンなど様々なポリフェノールが含まれ、それらをまとめて「リンゴポリフェノール」と呼ばれ、リンゴ1個の果肉に100~150mg含まれています。

ポリフェノールは、カラダを酸化させてDNAを傷つけ、生活習慣病の要因の一つとされる活性酸素を除去する働きがあります。リンゴポリフェノールについては、様々な研究・調査の報告がされていますが。

・中性脂肪減少作用
アサヒビールと日本体育大学健康学科スポーツ医科学系教授の中嶋寛之氏らの共同研究リンゴのポリフェノールには、筋力を増加させ、内臓脂肪量を減らす効果があるとの研究結果が発表されています(平成16年)。またリンゴの食物繊維ペクチンによっても中性脂肪を減らすということが認められています。

ここで注目したいのは、リンゴポリフェノールは、中性脂肪が多いヒトでは減少幅が大きく、少ないヒトでは減少幅が小さいことから、中性脂肪を正常化するように働くという点です。

・血糖値上昇抑制作用
以前は、リンゴも含めた果物は果糖が多いので血糖値の高い人は控えた方がよいという記述のものも多くありましたが、リンゴは食物繊維とリンゴポリフェノールにより血糖値を上げにくいと考えられています。

・抗アレルギー作用
リンゴポリフェノールがアレルギーを引き起こす活性酸素を抑制する。 またペクチンも、ヒスタミン濃度を下げるという報告があります。ただし、シラカバ系の花粉症の人の中には、リンゴも含めた果物で口腔内にアレルギー症状を引き起こす人もいるので、注意してください。

・コレステロール改善作用
リンゴポリフェノールが善玉コレステロールを増やし、また食物繊維のペクチンはコレステロール値を低減する作用があります。

・高血圧予防作用
リンゴポリフェノールは高血圧をひきおこすアンジオテンシンという酵素を阻害する作用があり、カリウムは体内の余分なナトリウムを排出することで高血圧予防に役立ちます。りんごを多く食べるという青森県のりんごの産地では高血圧が少ないことが知られています。

他にも、昔から知られている整腸作用などの効果も認められるなど、基礎研究や動物実験の段階のものがありますが、研究を重ねこれからさまざまな分野で応用されることでしょう。
 

りんごを皮ごと食べるメリットとおすすめの食べ方

このようにリンゴポリフエノールが注目される中で、リンゴの機能性をアピールする機能性食品表示をしたリンゴも出回るようになってきています。もちろんリンゴは薬ではないので、生活習慣病が治るなどの効果を求めるものではありませんが、美味しく食べながらバランスの取れた健康的な食事に取り入れていきましょう。
 
焼きリンゴ
焼きリンゴで、おいしく無駄なく食べましょう。
リンゴの皮には実よりも多くのポリフェノールが含まれますし、ペクチンも皮と実の間に多く含まれています。焼きリンゴやジャムなど、皮ごと美味しく食べればけ生ゴミの削減にもなります。

参考/
「リンゴ摂取による血液中の中性脂肪減少、ビタミンC増加、腸内細菌叢改善」(農研機構)
「リンゴ由来のポリフェノール成分の特性に関する研究」(京都大学)
「リンゴポリフエノールの健康機能性とその活用」

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