マーケティング/マーケティング事例

サントリーを3位に導いた「囚人のジレンマ」

夏本番を前に、熱い戦いを繰り広げるビール大手各社。2008年の夏は、ビール業界の序列にちょっとした異変が起こりました。万年4位だったサントリーが念願の3位に浮上したのです。果たしてその理由は?

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

暑い夏本番を前に勃発したビール業界の“熱い戦い”

暑い夏本番を前にしてビール業界のランキングに異変が!?
そろそろ夏本番ということで、ビールのおいしい季節になりました。気候もホットになってきましたが、それ以上にホットな話題を振りまいているのがビール業界。

これまでビール業界において、1963年に参入して以降サントリーはアサヒ、キリン、サッポロの後塵を拝して4位の座が定位置だったのですが、ここにきて3位のサッポロを逆転。悲願のシェア3位に躍り出たのです。

近年、原料の高騰が続いています。大手3社は2008年2月にキリン、3月にアサヒ、4月にサッポロと順次値上げを実施していくなか、サントリーはビールの最需要期が終わる9月まで家庭用の缶入りビールの値上げを据え置き。同ランクのビール系飲料では割安感が、またプレミアムビールにおいては他社のビールとの価格差が小さくなり、第3のビールである『金麦』やプレミアムビールの『プレミアムモルツ』の人気が高まり、売上的にはアサヒが4.2%減、キリンが5.9%減、サッポロが12.4%減とそれぞれ苦戦。サントリーは10.8%増と、大手4社のなかで一人気を吐く快進撃を続けてきました。

ビール自体、各社様々な商品を販売していますが、他社と完全に差別化されたものがなく、消費者はやはり価格でビールを選んでいる結果として価格を最後まで据え置いたサントリーの一人勝ちという構図が鮮明になったと言えるでしょう。

このサントリー一人勝ちの背景には、『囚人のジレンマ』という戦略があります。次ページではサントリーのマーケットシェアを大幅にアップさせ、悲願の万年4位からの脱出に導いた『囚人のジレンマ』という戦略に迫っていきます!

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