マーケティング/マーケティング事例

ほぼ日手帳大ヒットの秘密とは?(3ページ目)

毎年およそ9000万冊が発行される成熟した手帳市場でここ数年急成長を遂げた手帳がある。それが糸井重里氏が主宰するサイトから生まれた『ほぼ日手帳』。今回は糸井氏に直接取材を試みてヒットの裏側に迫る!

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

ほぼ日手帳を成功に導いたマーケティング戦略とは?

ほぼ日手帳
糸井氏の話から浮き彫りにされた成功に導くマーケティング戦略とは?
糸井氏に対する取材で浮き彫りにされたほぼ日手帳が成功したマーケティング戦略をここで纏めてみよう。

一つ目のポイントとしては、顧客目線で自分の欲しい商品を形にしていること。プロフェッショナルが機能的な面ばかりを考えて製作するのでは製品に心がこもってないと糸井氏は語る。たとえ素人臭さがあったとしても、心のこもった製品をお客様に届けたいということだ。

また、毎年多くの改良意見がメールで届くが最終的にどの部分を改良するかは自分たちがあればいいなという機能を中心に手帳を進化させている。つまり、自分たちが使ってワクワクすることは他の利用者もワクワクするという“楽しさの伝播”が背景にあるのだ。

二つ目のポイントとしては、大規模なプロモーションを展開して多くの人に届けるのではなく、本当に欲しい人だけに届けるという点だ。コピーライティングのプロフェッショナルだけに言葉を駆使して売ることは簡単だが、背伸びをした情報を伝えるのではなく、あるがままをお客様に知ってもらい、その上で使用するかどうかという判断をお客様に委ねているのだ。

最近では情報を偽装してまでも、自社製品をよく見せたいという企業が多く存在するが、そんな中、常に等身大の“自分”を伝え続ける姿勢に消費者は共感し、厚い信頼を寄せているということなのだろう。

そして、最後の三つ目のポイントは、本当に納得して商品を手にしていただく上で、流通経路を絞っている点だ。ほぼ日刊イトイ新聞から生まれた手帳だけにインターネットで商品のこだわり情報を発信して販売しているのは元より、唯一のリアルな販売経路であるロフトではほぼ日手帳のコーナーを独立させ、商品をわかりやすくディスプレイしたり、購入前に質問のあるお客様がいればほぼ日手帳を担当する店員が丁寧に説明するなど、独自の販売形式を取っている。

全国の書店などを通して販売することも可能かもしれないが、それが実現した時にLOFTのように書店の店員が使い方など質問のあるお客様に対して丁寧に 対応するのは容易ではないだろうとほぼ日手帳の担当者は語る。

ほぼ日手帳を成功に導く様々なマーケティング戦略。果たしてその内で最も強力なものとは?最後のページへどうぞ!
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