パターンのピースを増やそう
イチローが毎年、高いアベレージを残せている理由。それは「パターンのピースをたくさんもっているからじゃないか」と私は思っています。野球に関しては素人なので断定的なことは言えませんが、「内角高めのストレートはこう打ち返す」とか「シュートのときはこうする」とか、そういうパターンのピースを、イチローはたくさんもっているのではないでしょうか。
少なくとも営業マンについては、パターンのピースをたくさんもっていることは、とても大事です。できる営業マンは、「ヒアリングの場面」や「商品・事例紹介の場面」「お客さんの質問に答える場面」「クロージングの場面」などのさまざまな場面において、「こういうタイプのお客さんにはこう対応する」「こういう状況になったら、こう切り返す」というピースを数多くもっているものです。
ピースをもっているだけではなくて、「ヒアリングの場面では、まず全体の概要を掴むためにこう切り出し、さらに深く内容を知るためにこんなふうに質問して、最後にこういうテクニックを使って相手の気持ちを確認する」というように、商談の流れに沿ったそれぞれのピースの組み合わせ方も知っています。
瞬時に状況に対応できる力も大切
ただし、いくらピースをたくさんもっていたとしても「ここぞ!」という場面で使えなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。野球でいえば、「内角高めのボールが来たときには、肘を小さくたたんでバットを振る」ということが頭でわかっていたとしても、実際の試合の場面でピッチャーがボールを投げたときに、内角高めがくることを瞬時に判断して対応できなければ、ヒットは打てません。
打率を上げるためには、「たくさんのパターンのピースをもっており、その組み合わせ方を知っていること」と同時に、「瞬時に状況を判断して、適切なピースを使える能力」が必要になるわけです。
私は前者を「パターン化力」、後者を「状況対応力」と呼んでいます。