用地さえ取得すれば、あとは外部委託でOK?
新規参入企業とは主に、自社が所有する社宅などの跡地を開発してマンション事業を行う、本業が製造業など不動産分野以外の企業。首都圏の市場に精通していない地方を本拠地とする不動産会社などです。こうした企業に対して、土地情報の提供、事業計画立案、設計・施工、販売企画・受託販売、マンション管理・メンテナンスまで、総合的にサービス・支援する会社が長谷工コーポレーションなのです。比較的郊外の中規模以上のファミリータイプのマンションで、不動産広告の概要欄の「売主」が不動産専業ではない、または地方の会社で「施工」「設計・管理」長谷工コーポレーション、「販売提携」長谷工アーベストと記載されていると、場合によっては、分譲マンション事業のノウハウがなくて、委託先である長谷工コーポレーションから丸ごと提供してもらっている会社といえかもしれません。
かつて、分譲マンションの供給ランキングの上位に総合商社が多数か顔を出していたことがありました。商社はいわゆる口銭商売をしているわけですが、分譲マンション事業も商社的発想で成り立っているともいえるでしょう。つまり、用地さえ取得すれば、あとはすべて他社へ依存しておくことができる事業だからです。
市況がよければ、素人でもマンション事業は成功する?
時流に乗ればという但し書きはつくものの、誰でもできるのが、この事業の特徴なのです。マンションブームの時に立ち上げれば少々立地条件が悪くても、プランが平凡であっても、また価格が少々割高であっても、あっさり売れてしまうだけに、誰でも容易にできそうに誤解される事業でもあります。ところが、2008年秋のリーマンショック以降、マンションブームが去り過当競争状態がやってくると、売れるものと、売れないものとの差がはっきりして来ます。そんなときに競争に勝ち、利益を継続的に確保していくことは難しいのです。
最近では、コンスタントにマンション供給ランキングベスト10に入っている商社はなくなってしまいました。また、1990年、2009年ともにベスト10入りしている企業は大京、住友不動産、三井不動産レジデンシャル、コスモスイニシア、穴吹工務店の5社のみです。
全国マンション供給ランキング
そのうち、穴吹工務店は会社更生の手続きをし、コスモスイニシアも事業再生中です。また、2009年3位の藤和不動産も、資本参加を受けた三菱地所に来年(2011年)合併される予定です。このように、マンション分譲事業は、今や、容易な事業ではなくなってきたことを意味します。
それでは、永続的に分譲マンション事業を継続するための強い企業に求められるものは何でしょうか。次回は、競争に勝つ要因はどこにあるのかを見て行きましょう。
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