大阪市の住宅密集地 約1,300へクタール
大阪市では「狭あい道路拡幅促進整備事業」が行われています。市内には、老朽化した戦前長屋や木造住宅などが密集した市街地が数多く残っており、法律で決められた幅4メートルに満たない道路(狭いあい道路)がたくさんあります。これらの狭い道を少しでも減らそうと「狭あい道路拡幅促進整備事業」が行われています。
この事業は、幅員4メートル未満の狭あい道路に面して新築や増築などをする時に適用されます。建築基準法では、前面の道路を4メートルにする必要があり、建築をするためには建物を後退させる必要があるのです。この後退した部分を、市が道路舗装等を行うというもの。建築基準法で決められた後退部分の整備を市が行うわけです。
この事業の対象地域は、密集住宅市街地の中でも特に優先的な取り組みが必要な地域。JR大阪環状線の外周部分を中心とした約1,300ヘクタールのエリアとなります。かなり広い範囲で住宅密集地域が広がっているのがわかりますね。この対象地域に指定された場所を見てみましょう。
JR環状線東側の外周部は住宅密集地がびっしり
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大阪市「狭あい道路拡幅促進整備事業」対象区域。紫で色づけしたところがだいたいの対象地域。JR大阪環状線の外周、特に南東部に多い。
まずは、環状線の東エリアを見てみましょう。「京橋」駅より東側の地下鉄鶴見緑地線「蒲生4丁目」駅南側付近が密集地エリアとなっています。JRや京阪電鉄の京橋駅からも1キロメートルほどの場所です。
「大阪城公園」「森ノ宮」「玉造」駅近辺は、いずれも線路より少し東側に密集エリアがびっしりと並んでいます。ちょうどJR学研都市線の「鴫野」駅から南の一帯。このあたりでは、駅前に建物が密集しているというわけではなく、500メートルから1キロメートルほど離れたエリアに密集しているようです。
次に「鶴橋」「桃谷」近辺ですが、こちらは駅周辺も全て密集エリアとなっています。線路の西側(環状線の内側)もその指定箇所となっています。ちなみに、環状線の内側エリアが密集地となっているのは、この「鶴橋」と「桃谷」だけ。このエリア一帯はかなり広範囲で、道路が狭いことがわかります。
環状線南エリアの密集地も広範囲
環状線の南エリアのほうも見てみましょう。「寺田町」「天王寺」「新今宮」「今宮」エリアでは、線路の南側(環状線の外側)にいくつかの広い密集地エリアが点在しています。「寺田町」は駅から南東部にかけて広い範囲で指定エリアとなっています。その中には、近鉄南大阪線「河堀口」駅、JR阪和線「美章園」駅、大阪地下鉄谷町線「文の里」駅などがあります。
「天王寺」「新今宮」「今宮」駅エリアの南側は一帯が密集地となっています。「天王寺」周辺は特に密集地が南まで延びており、その範囲は大阪地下鉄御堂筋線「昭和町」「西田辺」駅の西側まで含まれています。また「新今宮」「今宮」周辺では東西に広い範囲でひろがっています。南海本線や地下鉄堺筋線の「天下茶屋」駅、南海高野線「津守」「西天下茶屋」駅が含まれる広い範囲となっています。
環状線西エリアは住宅密集地がわずか
環状線の西のエリアでは、密集地として指定したエリアはほとんどありません。1カ所だけあるのですが、環状線沿線とは少し離れた「海老江」エリアです。JR東西線「海老江」駅の周辺で阪神本線「野田」「淀川」駅なども範囲に含まれています。
大阪市内でもかなり広範囲に住宅密集地があることがわかりました。いずれも、市が指定した範囲ですので、この地域以外にも住宅密集地はあることでしょう。まずは、自分の目が一番。しっかりと確かめて、危険エリアを知っておくべきですね。災害による被害を最小にとどめるためにもチェックをしておきたいものです。
【関連サイト】
・大阪府インナーエリア再生指針
・大阪市住宅局「狭あい道路拡幅促進整備事業」
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