栄養管理/妊娠中・授乳中の栄養管理

授乳中の食事は母乳に影響する?栄養と食の基本

妊娠中に続き、産後の授乳中にも気になる食事と栄養。生ものや甘いものは食べてもよいのか、母乳によい食べ物、禁止されている食品など、心配事も多いのではないでしょうか? 何を食べるべきか、控えるべきかを、わかりやすく解説します。

一政 晶子

執筆者:一政 晶子

管理栄養士・米国登録栄養士(RD) / 栄養管理・療養食ガイド

授乳中は特別な食事が必要なの?!…
妊娠中から引き続いて、授乳中のママにとっても気になる、食事と栄養。「母乳がたくさん出るようにお餅を食べた方がいいよ」とか「おっぱいが詰まるから脂っこいものや、甘いものは控えたほうがいいよ」など、いろいろなアドバイスを受けることもあるかと思います。

授乳中のママは特別な食事が必要だと思いますか? 答えはNOです。基本的にバランスのよい食事ができていれば問題はありません。バランスのよい食事とは、野菜・果物・豆類・イモ類・肉・魚・乳製品などを十分に摂る食事です。脂っこいものや甘いものを抜く必要はありません。もちろん授乳中の人に限らず、食べすぎは当然よくありません。

ところで、日本では「おっぱいが詰まるから、脂っこいものや甘いものを食べないほうがいい」と言われているようですが、アメリカではそのようなことを耳にすることはありません。アメリカでは、おっぱいが詰まるのは、食事のせいではなく、おっぱいが空になるまで、赤ちゃんが十分に飲んでいないことと、下着がきついことが原因とされています。よっておっぱい詰まりを防止するためには、とにかく授乳を続けることと、下着を見直すといった対応をします。脂っこいものや甘いものを控えるというアドバイスは受けません。

少し栄養から話がそれますが、日本では出産前から頑張っておっぱいマッサージをすることが多いようです。アメリカでも1つ前の世代までは、マッサージが効果的だと考えられていました。しかし、今ではマッサージは逆効果で悪影響を与えるという考えが浸透しており、病院等でマッサージの指導は見られなくなりました。

それでは本題に戻って、授乳ママが気になる食事と栄養の話をQ&A式で進めましょう。

Q. 授乳中は脂っこいものと甘いものは控えるべき?

A. これは先にも述べたように、特に制限する必要はありません。脂っこいものと甘いものを食べ過ぎて、栄養のある野菜・果物・豆類・イモ類・肉・魚・乳製品などが十分に食べれない状態になるのは当然よくありません。

Q. お餅を食べると母乳の出がよくなるって本当?

A. そんなことはありません。お餅はカロリーが高く、栄養価の低い食品です。お餅の代わりに、野菜・果物・豆類・イモ類・肉・魚・乳製品などをバランスよく食べましょう。お餅は高カロリーなので、食が乏しかった時代には貴重なエネルギー源だったのでしょう。

Q. 産後の体重が気になる…ダイエットしてもよい?

A. 1ヶ月当たり、1キロくらいの減少ならば、母乳の生産量に影響を与えないといわれています。2キロ以上減る場合は、食事量を増やす必要があるでしょう。授乳婦は、1日450カロリー多めに摂取することが勧められています。体重が気になる人は、脂っこいものや甘いものを控えるようにしましょう。くれぐれも栄養価の高い食品を減らすことはないようにしましょう。

Q. 赤ちゃんのアレルギーが心配…

A. 何の症状も見られないのに、アレルギーを心配して食品を除去する必要はないでしょう。自己判断で除去すると、ママの栄養不足が懸念されることもあるので注意しましょう。特定の食品を食べた後に、赤ちゃんの様子に心配なことがある場合や、自分自身や家族に食物アレルギーがある場合は、専門家に相談するとよいでしょう。場合によっては、乳製品などを除去するようにアドバイスをされることがあるかもしれません。除去した食品の栄養素は必ず他の食品やサプリメントで補うようにしましょう。

Q. 授乳中にコーヒーなどカフェインをとってもよい?

A. コーヒーを飲みすぎると、赤ちゃんの寝つきが悪くなったり、機嫌が悪くなることがあるようです。特に必要がなけれなカフェインなしのドリンクを飲むとよいでしょう。麦茶、杜仲茶などにはカフェインは入っていません。紅茶やお茶などにもカフェインが含まれているので、多く飲む人はカフェインの量を調べてみましょう。目安としては、コーヒーと紅茶には同じくらいのカフェインが、お茶にはその半分くらいのカフェインが入っています。ただし玉露は大量のカフェインを含んでいます。コーヒーが好きな人は、1日に2~3杯以内に抑えれば特に問題はないとされています。

Q. 辛いものが好き。授乳中も食べても大丈夫?

A. 辛いものを食べると心配になりますが、いろいろな国や文化で、辛いものは日常的に食べられています。多くの赤ちゃんは辛いものの影響を受けないといわれていますが、母親が辛いものを食べると、赤ちゃんの機嫌が悪くなるケースもわずかながら見られるようです。辛いものを食べても赤ちゃんの様子に変化が見られない場合は心配しなくてもよいでしょう。食べ物が赤ちゃんに影響を与えるのは、摂食後約6時間以内だといわれています。様子を見てみましょう。

Q. 授乳中のお酒、アルコールは少しなら大丈夫?

A. 妊娠中は、禁酒が推奨されていましたね。授乳中も、日常的に飲むのは当然よくありません。もちろん飲まないのがベストですが、たまに少々たしなむ程度なら特に問題ないとされています。少々というのは、ワインやビール1~2杯のことです(大きなジョッキのことではありません)。アルコールは血中に入るのと同じスピードで、ミルクにも入っていくとされています。アルコールの量がピークになる2時間以内の授乳は避けるのがよいでしょう。量に関わらず、酔っているなという感じる場合は飲みすぎです。飲みすぎた場合は、体内からアルコールが抜けるまで、授乳を待つしかないようです。アルコールはミルクの中に残らないので、搾乳をしても効果がないようです。


いかがでしたでしょうか? 赤ちゃんのためにも、極端な食事は避けてバランスのよい食事を心がけましょう!
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます