不眠・睡眠障害/不眠・睡眠障害の種類

不眠度セルフチェックと不眠症状が出る病気一覧

【医師が解説】日本人の5人に1人は、睡眠に関する問題を抱えています。不眠で疑われる病気は睡眠時無呼吸症候群やむずむず症候群などさまざま。病院を受診すべきか迷っている人のために、自分で簡単にできて信頼性の高い不眠チェック法と、考えられる病気について解説します。

坪田 聡

執筆者:坪田 聡

医師 / 睡眠ガイド

眠れない・眠りが浅い・眠気が強い……睡眠の悩みは様々

不眠

不眠

あなたはグッスリ眠って、スッキリ目覚められていますか? 「毎晩寝つきが悪い」「寝起きや日中なんとなくだるい」という方は、睡眠障害の1つ「不眠症」かもしれません。睡眠の専門家が紹介する簡易的かつ正確な方法で不眠度をチェックしてみましょう。また、睡眠時無呼吸症候群や薬剤性不眠など、不眠を起こす病気についても解説します。

世界標準の不眠チェック方法・「アテネ不眠尺度」とは

不眠の程度を自分でチェックする方法に、「アテネ不眠尺度」があります。これは2000年に世界保健機関(WHO)が中心となって作った世界標準の不眠評価法です。

質問は8項目あります。各項目で、過去1カ月間に少なくとも週3回以上経験したものを選んでください。最後に各選択肢についている点数を合計します。

問1.床についてから実際に眠るまで、どのくらいの時間がかかりましたか?
いつも寝つきはよい 0
いつもより少し時間がかかった 1
いつもよりかなり時間がかかった 2
いつもより非常に時間がかかった、あるいは全く眠れなかった 3

問2.夜間、睡眠の途中で目が覚めましたか?
問題になるほどのことはなかった 0
少し困ることがある 1
かなり困っている 2
深刻な状態、あるいは全く眠れなかった 3

問3.希望する起床時刻より早く目覚めて、それ以降、眠れないことはありましたか?
そのようなことはなかった 0
少し早かった 1
かなり早かった 2
非常に早かった、あるいは全く眠れなかった 3

問4.夜の眠りや昼寝も合わせて、睡眠時間は足りていましたか?

十分である 0
少し足りない 1
かなり足りない 2
全く足りない、あるいは全く眠れなかった 3

問5.全体的な睡眠の質について、どう感じていますか?

満足している 0
少し不満である 1
かなり不満である 2
非常に不満である、あるいは全く眠れなかった 3

問6.日中の気分は、いかがでしたか?

いつもどおり 0
少し滅入った 1
かなり滅入った 2
非常に滅入った 3

問7.日中の身体的および精神的な活動の状態は、いかがでしたか?

いつもどおり 0
少し低下した 1
かなり低下した 2
非常に低下した 3

問8.日中の眠気はありましたか?

全くなかった 0
少しあった 1
かなりあった 2
激しかった 3

不眠度の自己評価法……「4点以上」は要注意

寝室
あなたの不眠は、大丈夫ですか?
それでは、不眠を自己評価してみましょう。まず、アテネ不眠尺度の8つの質問項目の各得点(0~3点)を全て足し合わせて得点を出してください。これが高いほど不眠が強く、逆に得点が低いほど不眠は軽いと判定します。

合計得点が4点未満の人は、不眠症とまでは言えません。ただし、自分で眠れないと感じているのであれば、生活の習慣を見直したり、寝室の環境を変えてみましょう。強いストレスを感じているのなら、それを減らすか対処する方法を考えてみてください。寝不足対策について詳しくは、「これが大事! 睡眠の悩み別 変えるべき生活習慣」や「これでグッスリ眠れる! 睡眠を重視した寝室の作り方」をご参照ください。

4点以上の場合には、不眠症の疑いが少しあります。心配な方は睡眠障害の専門医に診てもらいましょう。もちろん生活習慣や睡眠環境の改善はやる必要があります。なお、6点以上の方は早いうちに、睡眠障害の専門医の診察を受けてください。病院へ行くのは気が進まないかもしれませんが、早いうちに診断してもらって治療を始めれば、早く楽になりますよ。睡眠障害専門医の情報は、「日本睡眠学会ホームページ」で紹介されています。

「6点以上」の不眠症状で疑われる病気一覧

専門医
心配なときには、早めに相談を!
続いては、不眠を起こす病気について解説します。アテネ不眠尺度が6点以上の人は、どんな病気の可能性があるのでしょうか? 以下に不眠のタイプや不眠以外の症状とそれらから考えられる病気についてまとめました。もし、当てはまる病気が見つかったら、早めに睡眠障害の専門医療機関を受診しましょう。

■体の病気による不眠
・痒みや痛みがある
・トイレのため、何度も目覚める

■薬剤性不眠
・他の病気の治療薬を飲んでいる

薬剤性不眠については、「エッ! この薬が眠れない原因だったの?」をご覧ください。

■睡眠時無呼吸症候群
・イビキをよくかく
・睡眠中の呼吸が不規則
・朝起きたときに頭痛がしたり、ノドが渇いている
・高血圧や肥満がある
・顎が小さい
・夜中に何度も目覚める、あるいは日中の眠気が強い

睡眠時無呼吸症候群については、「メタボと関連!? 睡眠時無呼吸症候群とは?」をご覧ください。

■むずむず脚症候群
・夕方から夜にかけて、脚がむずむず・ちくちく・ひりひりする
・脚に虫が這うような不快感がある
・家族に脚を動かしていると言われたことがある
・寝つきが悪い

むずむず症候群については、「不眠を起こす怖い病気 後編:体の病」をご覧ください。

■周期性四肢運動障害
・睡眠中に足が動く、あるいは体の動きが多い
・寝つきが悪い、さらに夜中によく目覚める

周期性四肢運動障害については、「不眠を起こす怖い病気 後編:体の病」をご覧ください。

■睡眠相後退症候群
・睡眠の時間帯が遅いほうにずれている
・極端な夜更かしの朝寝坊

睡眠相後退症候群については、「休み明けに多い「睡眠相後退症候群」とは?」をご覧ください。

■うつ病
・気分がすぐれない、もの悲しい
・不安が強い
・やる気が出ない
・興味がわかない

うつ病については、「不眠を起こす怖い病気 前編:心の病」をご覧ください。

■睡眠相前進症候群
・朝、早くに目覚めて、その後は眠れない
・夕方や夜の早い時間から眠くなる

睡眠相前進症候群については、「朝活に有利? 究極の早寝早起き・睡眠相前進症候群」をご覧ください。

■精神生理性不眠
・寝つきが悪い
・眠ってしまえば、朝までグッスリ眠られる

精神生理性不眠については、「不眠を起こす怖い病気 前編:心の病」をご覧ください。

よく眠れないままでいると、うつ病に罹りやすいことが分かっています。また、睡眠不足から大きな事故をひき起こすこともあります。強い不眠や何かの病気が疑われる人は、早めに睡眠障害の専門医で診てもらいましょう。

睡眠にお悩みの方は、「よい睡眠をとるための生活習慣チェックリスト」や「寝ても眠い原因は過眠症かも……眠気危険度チェック」、「睡眠外来、専門医受診前に…手軽な睡眠障害診断サイト」もあわせてご覧下さい。
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