躁うつ病は遺伝子に原因?
躁うつ病の原因は遺伝的な要因が大きいことが知られています。病気の遺伝性を調べる研究としては、双子(一卵性双生児)の研究がポピュラーです。一卵性双生児は同一の遺伝子を持っていますので、双子の片方に病気があり、もう片方も同じ病気になる確率を調べることによって、その病気の遺伝性がわかります。一卵性双生児の片方が躁うつ病の場合、もう片方も躁うつ病になる確率は85~89%という最近の報告があります。この数字を見ても、躁うつ病の原因は遺伝的な面が大きいと思われます。しかし、双子の例でも、残りの15%程は躁うつ病を発症しませんので、原因は遺伝子のみならず、社会・環境的な要因も絡んでいると考えられています。
簡単に言ってしまえば、もともと躁うつ病になりやすい体質の方が、ストレスなどに接して、病気が発症してしまうということです。他の病気で例えてみますと、花粉症になりやすい体質の方が花粉に接して、花粉症を発症してしまうのと同様です。
躁うつ病は未治療のままだと、自然治癒は期待できず、一生、躁とうつを繰り返すことになりがちです。しかし、治療を受ければ、多くの場合、気分の変動をコントロールでき、支障なく日常生活を送ることができます。
次回は躁うつ病の治療の実際についてお話いたします。
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