コーヒーにがん予防効果や健康効果は期待できるのか
朝の目覚めの一杯に始まって、お昼に職場で頂く一杯。そして、夕食後に楽しむ一杯と、私達の生活のさまざまなシーンにコーヒーは登場します。そのコーヒーとがんの意外な関係をご存知でしょうか?
筆者はタバコは吸いませんが、コーヒーは大好きです。朝の目覚めの一杯に始まり、職場でちょっと一息というときに頂く一杯、そして、夕食後に家族で楽しむ一杯と、日によって変化はありますが、1日に3~4杯はコーヒーを頂いています。
筆者のお気に入りは、大きめのカップに豆乳をたっぷり入れて飲むバージョン。子どもたちからすると、「真っ黒くて苦い飲み物に、豆乳を入れるなんて!」というところなのでしょうが、筆者にとっては、楽しみな習慣になっています。
もう、20年以上飲んでいるコーヒーとがんとの関係となると、筆者もちょっと気になります。今回は、コーヒーとがんの意外な関係について、報告を挙げながらご説明したいと思います。
コーヒーとがんの調査…子宮体がん・浸潤結腸がん・肝臓がんリスクが下がる?
厚生労働省の研究班による調査で、1日に3杯以上コーヒーを飲む習慣のある女性は、子宮体がんになるリスクが低くなるという結果が報告されました。
国立がん研究センターの多目的コホート研究によるもので、40~60歳代の女性約5万9千人に対して、15年間追跡調査を行い、コーヒーを飲むのが週に2日以下というグループに対して、毎日3杯以上飲むというグループでは、子宮体がんになるリスクが約6割減少していたという結果の報告があります。
ちなみに、毎日1~2杯というグループでも子宮体がんのリスクが、約4割減少していました。
この研究班は、喫煙や食生活とがんの発生との関連を大規模な調査で研究しているグループですが、今までにも、コーヒーを3杯以上飲む女性のグループは、週に2日以下のグループと比較して、浸潤結腸がんになるリスクが約4割になるという研究結果を報告しています。
同じ研究班の調査結果で、肝臓がんとコーヒーとの関係に関するものがあります。この結果では、男女を問わず肝臓がんのリスクは、コーヒーを飲む習慣がない方に比べ、毎日1~2杯飲む方は約半分に、毎日5杯の方では約1/4に減少することが報告されています。
いずれも、信頼できる機関から発表されているデータですので、コーヒー党でない方にとっても、気になるデータかもしれませんね。
コーヒーの健康効果を過信する前に…食べ物と健康の話は冷静に解釈を
コーヒーと健康に関する話はたくさんあります
実は、話をひっくり返すようですが、今回のような調査結果の他に、「コーヒーが膀胱がんのリスクを上げた」という結果や、「血圧が上がる」「胃が荒れる」という健康への悪影響を示唆する結果が報告されているのも事実です。
また、たとえば、肝臓がんの原因であるC型肝炎に罹患しておられる方は、肝機能の影響もあり、コーヒーの飲用を控えている可能性があるということや、喫煙の有無についての影響が完全に排除できているのかということなど、調査の対象となる母集団にさまざまなひずみがないのか、ということもよく考えなくてはなりません。それに、コーヒーの銘柄が関係あるのか、ブラックで飲む場合と、砂糖やミルクをどっさり入れる場合の違いは、とか、缶コーヒーとインスタントコーヒーと、ドリップで入れるものとの違いは、などなど、色々な条件が関係するのかどうかも考慮する必要があります。
よって、結果を早急に鵜呑みにせずに、まずは、そういうこともあるのか、というスタンスで、頭の片隅に入れておくというのが、コーヒーに限らず、食べ物とがんとの関連のニュースを見たときには大切だと思います。
大切にしたいのは、コーヒーを飲む時間を楽しむこと!
生活のアクセントや彩りとしてコーヒーを楽しむことが、大切ではないかと思います。
今後、色々な研究が進むにつれて、コーヒーに含まれている成分ががんの発生や予防に影響を与えることが明らかになっていく可能性は十二分にあります。でも、「健康増進のために、コーヒーをがんばって飲むぞ!」というのは、少し違うとも思います。
重要なミーティングが終わり、スタッフと共に、カフェで頂くコーヒー。人気のお店で、極上のスイーツといただくエスプレッソ。1日が終わり、ほっとして、ドリッパーにお湯を注いで家族と楽しむソイラテ。コーヒー好きの筆者にとってはどれも生活に彩りを与えてくれる、大切な一杯です。
大切な仲間や家族と笑い、語らいながらいただく一杯。その時間を楽しむことが、実は最高のがん予防ではと密かに思います。
みなさんも、あまり色々と考えずに楽しいコーヒータイムを!
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