マーケティング/マーケティング事例

高級シャンプー戦争再燃!果たして勝者は?(2ページ目)

2007年4月下旬、資生堂からヘアケア市場トップの座を奪われた花王が満を持して高級シャンプーの新ブランドを投入。『TSUBAKI』以降、市場では激戦が続いていますが、果たして第二幕の行方はどうなるのでしょうか?

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

変わる消費トレンド

こだわり消費の時代
消費トレンドは「安ければいい」から「高くても品質のいいものにこだわりたい」へ。
日本ではバブル経済崩壊後、デフレが進展し、企業は先の見えない価格競争に巻き込まれてきました。このような経済状況の中では、日に日に商品やサービスの価格は下落し、消費者は最も安い商品を選択するスタイルが主流となりました。ところが、景気が緩やかに回復してきた近年では、その消費スタイルに変化が表れてきているようです。その変化を野村総合研究所が3年ごとに行っている「生活者1万人アンケート」をもとに見ていくことにしましょう。

この野村総合研究所が実施している「生活者1万人アンケート」の中で、「重要視している消費価値観」という項目があります。アンケートによると「価格が品質に見合っているかをよく検討する」消費者が2000年には52.4%だったのですが、2003年には58.5%、2006年には62.9%と実に6年間で10%以上増加しています。一方で、「とにかく安くて経済的なものを買う」というアンケートでは2000年には50.2%が「YES」と回答していますが、2003年には46.9%%、2006年には45.3%と年々減少の一途を辿っています。

つまり、安ければいいという消費者は減り、品質に見合えばそれなりの価格でも購入するというこだわり型の消費スタイルを取る消費者が大幅に増加してきているのです。

アンケート結果を参考にすると、企業はこれまで厳しい価格競争という現実からいかに安い商品を提供するかということに腐心してきましたが、この考え方を転換する時期が訪れたと言えるのではないでしょうか。ヘアケア市場において高級シャンプーがヒットしたという事実からも消費トレンドの変化は明らかです。

この観点から高級シャンプー戦争の第二幕では、プロモーション戦略で目立つことも重要だと思いますが、それ以前にやはり価格に見合った品質を備えた商品を提供しているかが重要になってきます。顧客は、いろいろな商品を試してみて自分にとって最も価値のある商品をリピートします。数百円程度の価格差にこだわらずその価格に見合う以上の価値を提供すれば、さらに高い価格帯での高級シャンプー戦争も顧客の支持を受けて活況を呈すのではないでしょうか。

現状ではどのブランドが勝利するかを予測することは難しい。消費トレンドから見て価格で決着がつくのではなく、顧客により高い価値を提供できるブランドが勝利するのは間違いないでしょう。
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