80年前の『蟹工船』が異例のヒットを記録!

蟹工船
今俄然と注目を浴びる『蟹工船』。今年に入って30万部を超える大ヒットを記録。
文庫本の『蟹工船』が異例のヒットを記録しています。今年に入って新潮社の発行する文庫本の刷数は6月末までに実に35万7千部。プロレタリア文学の代表作として、1929年に発表され1953年に文庫化されて以降、ロングセラーで売れ続けている作品とはいえ、今年の売れ行きは例年の10倍以上に達します。

年間の新刊出版点数が8万を超え、1日当たりに換算すると200冊以上の新刊が全国の書店に並ぶ現代で、なぜ今『蟹工船』なのでしょうか?

50年以上前に初版が出版された文庫本のヒットと言えば、昨年太宰治の『人間失格』とドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を紹介しました。

太宰治の『人間失格』は表紙を、若者に絶大な支持を受ける漫画『DEATH NOTE』の作画を担当する小畑健氏を起用することにより、これまでと違った読者層にアピールすることに成功しヒットを記録しました。

一方で、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』はこれまで難解だった翻訳をより分かりやすく翻訳しなおした上に、読者ガイドや翻訳者の見解を加えてストーリーを理解しやすくする工夫を行うなど、作品に改良を施したことがヒットに繋がりました。

それでは、今回の『蟹工船』もこれら『人間失格』や『カラマーゾフの兄弟』のような手法でヒットを記録したのでしょうか?

背景を調べていくと、どうやら今回のヒットは表紙を変えたものでもなければ、作品を読みやすく修正したものでもないようです。

果たして『蟹工船』はなぜヒットしたのか?まず、次ページではそのヒントを得るためにあらすじを紹介したいと思います。それでは、次ページへお進み下さい!