マーケティング/マーケティング事例

ナイトミルクって何? 夜用商品のブーム到来(2ページ目)

「夜専用」を謳った商品が、続々とヒットを飛ばしています。なぜ今、夜専用商品なのか? その謎に迫っていくと、現代社会が抱える特有の背景が……。現代で爆発的にヒットを記録するマーケティングとは?

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

夜に搾った「ナイトミルク」って?

通常の牛乳にもメラトニンは含まれていますが、その何倍ものメラトニンを含むのが「ナイトミルク」と呼ばれる特別な牛乳。乳牛も人間と同じように夜間にメラトニンを多く生成しているので、特殊な方法で夜間に搾乳することによって、メラトニンがたっぷり含まれた牛乳が搾り出されるというわけです。

このナイトミルクは、もともとたくさんの人が睡眠障害に悩まされるフィンランドでブームとなりました。日本においては、2003年11月に大塚製薬がこの海外のブームに注目して、フィンランドのナイトミルク社と技術提携し、夜お休み前に飲むナイトミルクとして「ネムー」を発売。この「ネムー」は、「夜にリラックスして眠りにつく」という新しいコンセプトが受け入れられ、現在まで夜寝る前に飲むナイトミルクとして消費者の支持を得てロングヒットを記録しています(ただし、ナイトミルクに含まれるメラトニンは睡眠効果を保証するものではありません)。

このナイトミルクのように最近やたらと夜専用を謳った商品を目にすることが多くなりました。そこで、調べてみると意外にもこんな夜専用商品がありました。 

続々増える夜専用商品

夜に食べるアイス
夜専用アイスも女性に人気!
夜専用商品で最近増えてきたのが食品類。たとえば、森永乳業は健康や美容に関心を持つ20代から40代の女性にアンケートを取ったところ、なんと実に43%以上の女性が、夜の9時以降にアイスクリームを食べている事実に着目。ただ、通常アイスクリームは高カロリーで夜寝る前に食べると太ってしまう原因にもなります。そこで、女性が気にするカロリーを抑えたにもかかわらず、濃厚でなめらかな従来のアイスクリームの特長そのままの夜専用アイス、その名も「真夜中の贅沢」を開発。東京、神奈川、千葉、埼玉など1都8県の地域限定ながらバニラ、抹茶、ミルクティーの3つのフレーバーの販売を開始しました。

また、同じようにキューピーも20代から30代の未婚女性を対象に調査したところ、対象者の30%以上が夜の9時以降に食事を取っていることが判明。この調査結果に基づいて、夜9時以降でも気軽にしっかりと栄養のバランスのとれた食事ができるようにと、電子レンジ対応のカップスープ「ホッとタイム 野菜と豆と雑穀のスープ」を開発し、2007年2月から販売を始めました。このスープは、野菜や豆、雑穀などを中心にしてじっくり煮込み、ピューレ状となったスープベースにニンジンやズッキーニ、押麦などを加え、少量にもかかわらず食べ応えのあるスープに仕上がっています。

そして、変わり種の夜用商品としては夜用洗剤というものも……。こちらは花王の独自調査で、働く女性の約40%が夜に洗濯をしているという結果に基づいて、部屋干しに適したいい香りが長く続く成分や、洗濯物がシワになりにくい成分を配合して開発した夜用の洗濯洗剤。花王はこの夜用の洗濯洗剤「スタイルフィット」を通して、趣味や仕事に忙しい現代人対して、貴重な日中に洗濯するのではなく、夜に洗濯するライフスタイル=「夜洗い」という新たな習慣を提案しているというわけです。

それでは、最近なぜ夜用商品が続々誕生しているのでしょうか? マーケティングの観点から分析すると意外な背景がありました。

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