顧客のライフタイルや予算、購入意思決定のプロセスを知ろう
誰が購入を決定するかを明確にすると、マーケティング戦略も変わってくる
たとえば、顧客のライフスタイルの調査も重要な顧客分析の1つです。主な対象顧客は「どのような新聞を読んでいるのか?」「どのようなテレビ番組を見ているのか?」「どのような雑誌を読んでいるのか?」などは、プロモーションを展開する際に効率的な集客を行う鍵となる情報です。なぜなら、対象となる顧客が特定の新聞を読んでいることがわかれば、その新聞に広告を載せればより多くの対象顧客が自社製品の存在を知ることになるからです。もし、対象顧客が「どのような新聞や雑誌を読んでいるのか?」「どのようなテレビ番組を見ているのか?」という情報を知らなければ、多大な宣伝広告費をギャンブルに投じてしまうことになります。
また、製品の流通面からよく立ち寄る場所を把握することは重要なポイントになります。対象顧客がコンビニをよく利用するようであればコンビニを、百貨店を利用するようであれば百貨店を流通網とすることにより、顧客に購入してもらう機会は飛躍的に高まることになります。
加えて、対象顧客の年間予算も把握しなければいけない情報の1つ。この分析は価格を決定する際に役立ちます。顧客にいくらニーズがあっても、購買力がなければ消費に繋がりません。そこで消費を喚起するためにも、手の届く価格設定を行わなければいけません。その際に対象顧客の年収や借入意欲を調べ、どのくらいの予算を考えているのかを知る必要があります。
借入にまで言及したのは、最近では「こだわり消費」が鮮明になり、自分のこだわっている商品であれば、年収にかかわらず借入を行ってまで消費を行う消費者が増加してきたからです。たとえば、高級車やブランド製品など、通常考えれば対象とならない年収層でも、借入を行って購入するということも十分に考えられるということです。
最後に購買の決定者を知ることも重要になります。商品購入にあたって、「商品の利用者=購買の決定者」というわけでは必ずしもありません。購入の決定者が購入して、商品を利用者に渡すということも十分考えられます。購入者と利用者が違えば、全くマーケティング戦略も違ってくるので、誰が購入の決定者かを知ることはマーケティングを成功に導く上でも重要なポイントになります。
たとえば、介護サービスでいえば、利用者は高齢者。高齢者自身がサービスを決定する場合もありますが、決定者が利用者の息子や娘というケースも考えられます。このような場合、利用者自身のニーズだけを重視していると、なかなかサービスが売れないこともあります。決定者である息子や娘のニーズまで汲み取ったサービス提供を心掛けなければいけないということなのです。
顧客分析で注意すべきポイントとは?
顧客を知る顧客分析はマーケティングの出発点であり、非常に重要な分析となりますが、注意しなければいけないポイントがあります。それは、「顧客に直接聴く」ということです。往々にして顧客に直接聴くことなしに、担当者の思い込みで顧客のニーズを決定する場合もあるかもしれません。ただ、会議室の中だけで予測されたニーズと実際のニーズには、大きなギャップが存在するのは明らかです。実際にお客様の声を聴きながら、お客様がどんな期待を持っているのかを把握していけば、マーケティング戦略で間違うことは少なくなります。
営業担当者が直接お客様に商品の感想をヒアリングしたり、店舗でお客様へのアンケートを実施したり、対象顧客に集まってもらって集団でインタビューを行ったりと、直接お客様から意見を収集する方法は多くあります。顧客のニーズというのは常に変わっていますので、機会あるごとに顧客の声を聴き、真のニーズの分析に努めていきましょう。