新製品の価格はその後の販売動向に大きく影響する

通常価格というのはコストや需要と供給の関係、ライバル企業との競争などで決まってきますが、新製品の価格設定というのは、その後の製品の販売動向に多大な影響を与えるという意味からも非常に重要なものになります。


新製品の価格戦略を検討する際には、大きく分けて2つのタイプから自社に適切な戦略を選択していくことになります。1つは「ぺネトレーションプライシング」と呼ばれるものであり、もう1つは「スキミングプライシング」と呼ばれるものです。

■ぺネトレーションプライシング
ぺネトレーションプライシングは市場浸透価格戦略とも呼ばれ、新製品の発売時に相対的に低い価格を設定する戦略です。赤字覚悟の低価格を設定し、いち早く市場で高いマーケットシェアを獲得することを目指していきます。

この戦略は、低価格で新製品をマーケットに投入して販売量を急激に増加させ、単位当たりの生産コストを削減することによって、収益を拡大していくことを狙っています。ですから、このぺネトレーションプライシングは非常に大きな潜在市場が存在していると見込まれる場合や、価格の変化に対して消費者が敏感に感じる場合に有効に機能する戦略と言えます。

たとえば、ソフトバンクは携帯電話業界に参入する際に、同社間の通話料金は一部を除いて無料にするという当時では画期的なぺネトレーションプライシングを実行しました。携帯電話というのは今や私達の生活に無くてはならないものですから利用者は通話料をかなり意識していますし、携帯電話市場は言うまでもなく非常に大きなマーケットであり、この市場で大きなマーケットシェアを握ることは取りも直さず大きな収益に直結することが、ぺネトレーションプライシングを採用した理由と言えるでしょう。

■スキミングプライシング

一方でスキミングプライシングは上層吸収価格戦略とも呼ばれ、新製品の発売時に相対的に高い価格を設定する戦略です。高めの価格を設定することによって、当初から大幅な利益を計上し、早期に新製品の開発コストを回収することを目指していきます。製品のライフサイクルにおいて、新製品の導入期は価格にそれほどこだわらない熱狂的なファン客がターゲットとなりますので、これら初期購入者層向けに高い価格で新製品を提供して初期投資の回収を図り、場合によっては製品のライフサイクルが進むに従って価格の引き下げを行い、より大衆向けに消費の拡大を図る戦略です。

このスキミングプライシングは競合他社に対して、自社製品の差別化が優れている場合や価格によって需要が左右されない場合に有効に機能する戦略と言えます。

たとえば、自動車メーカーであるメルセデスベンツは新車価格を非常に高く設定するスキミングプライシングを採用しています。ベンツの主要ターゲット顧客は価格にこだわらない富裕層ですし、ベンツの車はクオリティが高くブランドが確立していますので、競合他社との差別化が明確なためにこのスキミングプライシング戦略を採用できるというわけです。

新製品の価格設定は、その後の企業の業績に大きな影響を与えるために慎重に検討しなければいけません。自社を取り巻く環境を適切に分析して、マーケットシェアをいきなり拡大するぺネトレーションプライシングを採用するのか、それとも早期に投資コストの回収を目指すスキミングプライシングを採用するのかを決定していくことになります。