素早く解決するクレーム対処法
どんな立場であれ、お客様からするとあなた=会社だと認識します
クレームの心構え
お客様や取引先からのクレームに対して、専用マニュアルを用意している会社が増えています。それ程クレーム対応が深刻で重視されているということですが、裏返せばそれは、対処の仕方に個人差が大きいという事実を物語っています。お客様からすれば、電話に出た相手が誰であれ、その企業の人間です。もしあなたが電話を取り担当者が不在の場合、あなたが対応することになります。その際の心構えを記しておきます。
1.会社の看板を背負っているという自覚
指定日に商品が届かなかったり、商品に不具合が見つかったり、サービスの内容に問題があったりすれば、それは「会社の失敗」。「それは私の責任ではない」と言いたくもなりますが、クレームを寄せる人は、あなた個人ではなく、会社としての対応を求めています。たとえあなたが責任者でなくても、あなたの対応が「会社の対応」となります。
2.電話を待たせない、たらい回しにしない
電話を保留にしたまま長時間待たせることはもちろん、「○○部にかわります」「担当者にかわります」などたらい回しにすると、相手の怒りはさらに倍増します。「この件は、わたくし○○が責任を持って担当者に伝えます」と伝えるだけで、相手はいったん安心します。また、折り返し電話をかける際も30分以内にはかけ直すようにしましょう。
3.相手を理解し思いやりの心で誠実に
怒り心頭している相手と対立するのでなく、まず相手の心情を察することが肝心です。誠実な対応が求められます。
絶対にNGな受け答えは「それはお客様の使い方が悪かったからではないでしょうか」など相手に責任を転嫁する内容の言葉です。その他「大した事故ではなさそうですね」といった相手のダメージの程度を勝手に決め付ける内容の言葉です。
4.敬語を忘れない
相手が感情的な言葉を使っても、対応する側は終始、敬語を使うことが鉄則です。言葉遣いをひとつ間違えただけで、相手の怒りに「火に油を注ぐ」ことになりかねません。
5.正確なメモを
相手の名前、連絡先、クレームの内容など、正確にメモをします。後で担当者に伝えるために欠かせないメモとなるからです。いい加減な伝え方をすると、担当者が混乱するばかりでなく、担当者がクレームの相手に連絡した際に「そんなことは伝えてある」「そんなことは言ってない」といった口論に発展しかねません。
6.クレームはチャンス!
クレームは、相手との信用を厚くしたり、サービスやシステムを改善したりするチャンスだと解釈すること。「損なクジを引いた」「これはピンチだ」と考えるのでなく、むしろチャンスと捉えることが肝心です。つまり、対応を重ねていくうちに信用を回復し、「対応が早い」「誠実な対応だ」といった具合に信用を厚くすることができるのです。そして、商品やサービスに不備があったのなら、大きな被害になる前に改善できる機会を得られることになります。
7.勝手な判断はNG
誠実に対応するのが心得とはいうものの、あなたの勝手な判断で「商品をすべて回収します」「謝罪広告を出します」「社長が謝罪に参ります」といった無責任なことを口に出さないように注意してください。あとでさらに大きなトラブルに発展する可能性があるからです。
8.自分で処理する問題か否かを判断する
相手の話を聞きながら、相手がクレームを言いたいだけなのか、謝罪を求めているのか、あるいは商品の交換、返品、修理費用、治療費などを求めているのか、できるだけ早い段階に察しましょう。そして自分が処理できない問題だとわかれば、他の担当者に代わってもらいましょう。
一般のお客様からのクレーム対応
一般のお客様からクレームの電話が入った際の対処の仕方を説明します。大手のメーカーには、「お客様相談室」「IR室」「広報室」などがあり、専門の担当者が対応してくれます。その際は、「担当者におつなぎしますので、しばらくお待ち下さい」と言って、担当者に引き継ぎます。しかし、そういった専門の部署がない会社や担当者が不在の際には、電話を取った人がいわば「お客様相談室」です。STEP1 クレーム内容を把握
途中で「しかし」とか「お言葉ですが……」と口を挟んだり反論するのでなく、相手が言葉を終えるまで最後まで聞くことが大切。口を挟んだだけで「反論するのか」「人の話を最後まで聞け」と逆上する場合もあるからです。
STEP2 共感を示す
「おっしゃる通りです」「お気持ちお察し致します」など、共感の言葉を発することで、相手は「この人はわかってくれる」と感じ、相手の怒りを抑え、安心感へと変えることができます。
STEP3 謝罪の言葉を述べる
ここで大切なことは、こちらに非があるかどうかわからないうちでも、相手を不快な気持ちにさせたことに対して詫びることです。以下のような謝罪の言葉が適しています。
「○○様、不快なお気持ちにさせてしまい、申し訳ございませんでした」
「ご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした」
STEP4 感謝や気遣いの言葉を述べる
相手が「○○のユーザーですが、○○に不備があったので連絡しました」と切り出せば、「弊社の商品をご愛顧いただき、ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えましょう。
何らかの解決法を提示して相手が納得する、あるいは相手の怒りが収まって電話を切る段階に、「ご連絡をいただき(ご指摘をいただき)、ありがとうございました」と伝えます。そして、「今後、このようなことがないように十分注意いたします」と添えます。
取引先からのクレーム対応
クレームと聞くだけで尻込みしてしまいそうですが、チャンスだと捉えましょう。乗り越えた時にはお客様からの信頼と自分自身の成長が得られます
■担当者が不在
「あいにく担当の○○が外出しております。大至急連絡を取り、折り返しご連絡をさせていただきますが、よろしいでしょうか」と相手の意向を聞きます。その後、すぐに担当者に連絡を入れます。
■相手がいきなり話し始めた
メモを取りながら最後まで内容を聞きます。「承知致しました。わたくし○○が責任を持って、担当の○○に伝えます」とはっきり伝えましょう。もちろん、その後すぐに担当者に連絡を入れます。
■具体的な質問があった場合
「いつ頃、商品は届くのか」
「どうしてこの様なミスが起こったのか、説明してほしい」
矢継ぎ早に質問された場合は、それも全てメモした上で、「それでは詳しいご説明を○○からさせていただきます」と伝えます。
絶対にNGな態度は、相手を安心させるつもりで「商品はすぐに届くはずです」と根拠なく答えたり、憶測で「配送の途中で業者が壊したのかもしれません」と誰かの責任にしたりすることです。このような返答は、不誠実と取られ後々大きなトラブルに発展しかねません。
社内トラブルとクレームの対応はケースバイケースのことが多く、キャリアがどんなに長くても的確な対応が難しいものです。普段から、自分が当事者になったことを想像し、先輩から対処の仕方を聞いておくなどして、迅速かつ冷静に対応できるよう努めてください。
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