ビジネスマナー/接客・接待・訪問のマナー

ビジネスマナーの基本となる挨拶の心得……職場や社外での挨拶方法

挨拶は会社や仕事など、ビジネスマナーの基本です。挨拶でその人の「印象」や「好感度」といった数値化できない感情が、その後の信頼関係を大きく左右させます。今回は、職場や社外などで、ビジネスマナーの基本となる挨拶について解説します。

美月 あきこ

執筆者:美月 あきこ

ビジネスマナーガイド

ビジネスマナーの基本は挨拶

ビジネスマナーの基本となる挨拶の心得

最初の挨拶で好印象を与えると、それからの信頼関係に良い影響を与える

挨拶は、最初に会った時の「印象」や「好感度」といった数値化できない感情が、その後の信頼関係を大きく左右させます。人間関係は「挨拶」に始まり、「挨拶」に終わるといわれます。

「一挨一拶(いちあいいちさつ)」をご存知でしょうか。禅宗の問答に由来した言葉です。「挨」は開く、押す、迫る、近づく、という意味があり、「拶」も同じく、迫る、近づく、という意味があります。だから、互いに心を開いて接すること、ひいては互いに認め信じ合うということ。

人間関係を大切にする茶道で「一挨一拶」は、精進の基本と定義されています。素直に挨拶ができることは、人間本来の姿であり、人間社会の秩序の基であるとの教えがあります。その「一挨一拶」から「挨拶」へと略され、現在のようにおじぎや受け答えに対しても用いられるようになったと言われています。

ビジネスパーソンにおいても挨拶は、円滑な人間関係を築く潤滑油のようなもの。多くの人にとって、もはや空気のような存在となっているため、改めて意識する機会は少ないことでしょう。それでも、常にビジネスマナーの基本であり、大切な仕事の一部であることを忘れてはいけません。

たとえば炎天下で汗を拭きながら訪問したことに対する労(ねぎら)いの言葉ひとつなく、まるで流れ作業のように事務的に対応されたとしたら、あなたはどんな気持ちを味わうでしょうか。「敬意を払ってくれていない」と感じ、当然相手に対して良い印象を抱くことはないはずです。しかも後味の悪さは、しばらく残ります。

反対に、先方の担当者が「いつもお世話になっております。こんなに暑い日に打合せにお呼び立てして、たいへん恐縮です」と頭を下げられたら、訪ねた側は心からほっとしますよね。明るい空気に包まれて名刺交換を終え、打合せや商談もフレンドリーに進むのではないでしょうか。そんな挨拶に注目し、挨拶の要点、さらに名刺交換の流れ、名刺交換の注意点を解説します。
   

ビジネスマナーとしての挨拶の心得

あなたの気持ちを相手に届けるためのツールが「挨拶」なのです。「先言後礼」と呼ばれるように先に「心を込めた挨拶」、その後「心を込めたお辞儀」をします。「心」なくしては「挨拶」は成り立ちません

あなたの気持ちを相手に届けるためのツールが「挨拶」なのです。「先言後礼」と呼ばれるように先に「心を込めた挨拶」、その後「心を込めたお辞儀」をします。「心」なくしては「挨拶」は成り立ちません

挨拶の心得は、「ビジネスマナーの心得」と重なります。すなわち、誰に対しても、まず自分から思いやりの気持ちを込めて挨拶をすることが大切です。

挨拶は、どんな場合も省略をせず、はっきりと伝えなければなりません。また、相手に聞こえなければ、声をかける意味がありません。明るく爽やかに、きちんと届けてこそ、相手も気持ちよく返してくれるというものです。

相手に関心を持ち、やさしく声をかければ、相手の心も反応します。挨拶は、思いやりの気持ちを込めて使うものです。そのことを肝に銘じておいてください。
 

ビジネスマナーとしての挨拶1:職場の場合

たとえば今日、これまでに職場で使った挨拶の言葉を数えてみてください。2つや3つではないはずです。出社から退社までに使う、様々な挨拶をまとめてみました。あなたは、次のような状況で、挨拶をしていますか?

■出社時
出社したら、まず「おはようございます」と挨拶しましょう。仕事のスタートなので、明るく元気に。

■廊下や階段
廊下や階段で、お客様、上司、同僚とすれ違う時は、目礼や会釈しましょう。廊下や階段で人の間をすりぬける時や追い抜く時は、「失礼致します」と声をかけましょう。

■エレベーター
エレベーターから降りる時、中に同僚が乗っていれば「お先に」と言いましょう。エレベーターの階数を押してくれたり、ドアを開けて待ってくれたりする人には、「ありがとうございます」と感謝の気持ちを告げましょう。

■食事の時
どんな場所であれ、他人と食事をする時は、「いただきます」「ごちそうさまでした」と言いましょう。

■オフィス
営業や出張に出かけていく人に対して、「いってらっしゃい」と声をかけましょう。ちなみに、「いってらっしゃい」は「いっておいで」の敬語表現です。

■電話や面談の時
電話や面談などで相手を少しでも待たせたと感じたら、「お待たせしました」と切りだしましょう。

■退社時間
退社する人には、その日の疲れをねぎらう言葉「お疲れさまでした」を使いましょう。ほかの人より先に帰宅する時は、残って仕事をしている人に声をかけるのが礼儀です。一礼して「お先に失礼します」と告げましょう。

オフィスの挨拶で、よく混同して使われるのが、「お疲れさまです」と「ご苦労さまです」。内容は同じですが、「ご苦労様です」は目下へのいたわりの言葉。ですから、目上や上司に向かって使うのは失礼です。オフィスでは、「お疲れさまです」「お疲れさまでした」を使うようにしましょう。
 

ビジネスマナーとしての挨拶2:社内の場合

社外ではその人の状況をよくみて見なかった事にすることもマナー

社外ではその人の状況をよくみて見なかった事にすることもマナー

職場以外の場所で、得意先・取引先の担当者や、会社の上司・同僚・部下に会った時も、「おはようございます」や「お世話になっております」といった挨拶をしましょう。職場を離れても、敬語を使うのが原則。ただし、社外では相手の状況を見極めることも大切になってきます。

■得意先・取引先の人には
「おはようございます」「こんにちは」のほかに、「いつもお世話になっております」「先日はたいへんお世話になりました」などの言葉を添えることも忘れないように。


■相手が見知らぬ人と一緒の場合
目が合った時だけ、軽く会釈する程度にしておくのが賢明です。相手が話に夢中になっている時に割り込んで、大きな声をかける必要はありません。特に相手が異性と一緒の場合は、くれぐれも慎重に。

■思いがけない場所で会った場合
挨拶のタイミングを逃がしてしまうことがあります。そういう場合は、「突然だったもので失礼致しました」と声をかけるのがよいでしょう。

■相手と会うのが久しぶりの場合
「たいへんご無沙汰をいたしました」「お久しぶりでございます」と切り出し、「お元気でいらっしゃいますか?」「おかわりございませんか?」などと声をかけるのがよいでしょう。

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