コーチング/目標達成・プロジェクト進行

プロジェクトを円滑に進めるリーダーとは(3ページ目)

部下に任せるより自分でやったしまったほうが速いと思うことはありませんか? そんなときこそぐっとこらえて、メンバーの力を引き出すことで部下の能力を引き出すことができます。ではそんな関わり方とは?

平野 圭子

執筆者:平野 圭子

コーチングマネジメントガイド


部下から声をかけさせる

とはいえ、リーダー側からの一方的な声がけだけですべてをフォローするのは難しいでしょう。そこで、部下から声をかけさせる工夫が必要となります。

■日常的に部下から声をかけやすい環境作りをする
リーダーが「困ったことがあったら言ってくるだろう」と思っていても、部下はなかなか言いづらいもの。ましてや「困ったこと」「問題」が起こっているときはなおさら話しかけにくい。

事前にリーダーから「問題や相談のあるときは声をかけて下さい。私からも声をかけますが、みなさんからもぜひ声をかけて下さい。情報共有のためにも、特別なことがなくてもちょっとしたことでも話していきましょう」と声をかけ、まずはリーダーから話しかけやすい環境をつくりだすことが必要です。

■「何かあったら声をかけてね」は実は無責任な言葉
「何かあったら声をかけてね」「いつでも相談してね」は一見親切そうですが少し漠然としています。部下に実際に声をかけさせるには次のように場面や方法を具体的に示すと効果的です。

場面を示す例には次のようなものがあります。
  • 「判断や優先順位に迷ったときには相談してほしい」
  • 「予想外のことが起こったときには遠慮なく声をかけてほしい」
  • 「一人で10分考えても答えが出ないときには一緒にブレーンストーミングをしよう」
方法を示す例には次のようなものがあります。
  • 「メールだと確認が遅くなるから、直接声をかけてほしい。もしそれが難しい場合は携帯に気軽に電話してほしい。留守電にメッセージを入れてくれれば必ずコールバックするから」
  • 「気になったことがあるときだけでなく、毎日の日報で進捗や状況を共有して欲しい」
■話しかけやすい存在でいる
どんなにセットアップをしてもいざ声をかけようとしたとき、リーダーが忙しそうにしていると部下は気遣いや遠慮から声をかけるのを躊躇したり、先延ばしにしてしまいます。いつでも声をかけてもいいんだ、ちょっと話しかけてみようと思わせるような振る舞いがリーダーには必要です。

話しかけやすいリーダーのあり方としては例えば次のようなポイントがあります。
  • なるべく忙しそうにしない
  • 忙しいときでも声をかけられたら、部下の話を聞くことを優先する。パソコンや書類を見ながらのながら聞きは禁止!
  • どうしてもすぐに対応できない場合は、その状況を伝え、最短で話を聞ける時間を約束する。「後で」と保留にしない、次の約束だけでもその場でする
  • 部下との約束を破らない、約束の時間に遅刻しない
  • パソコン画面を見るのは必要なときだけ。できれば朝などにメールチェックはまとめ、業務中はパソコンの画面より部下に興味を払う
  • 席にずっと座っているのではなく、職場をぶらぶらする
  • 機嫌良くいる。しかめっ面や機嫌の悪い上司には声はかけにくいものです
  • 気分のムラがない。たとえ機嫌が実際にはよくなくても、機嫌がいいときも悪いときも対応を変えない。
こうした取り組みはリーダーの負担を減らすだけでなく、「フォローされている」という受け身な状態から「フォローを求める」という積極的な姿勢へとメンバーを変化させ、彼らの自発性や自律性を育てることにも役立ちます。
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