異なる専門分野のプロ4名が集結して、LLPを設立
【特集取材】
“人が資源”の新組織形態、LLP・LLCの活用事例[2]
個を大切にする会社形態、それがLLC!
個人で仕事をするフリーランスが、チームやプロジェクトを立ち上げ、連携・協力して仕事をする際の組織形態として、LLC(合同会社)やLLP(有限責任事業組合)がようやく日本へ導入されました。これらのシステムをいかに活用して、どのような成果が得られるのか。事例をご紹介しながら、フリーランスの共同化を考えていきます。
フリーランス3人がユニットを組んで、3年間活動
今回ご紹介するのは、福岡を活動拠点にWeb制作を行う合同会社CGFMです。合同会社(以下、LLCと呼びます)の立ち上げの中心となった金内透さんに、設立までの経緯や運営方法、組織化したことのメリットやデメリットなどをお伺いしました。■LLC立ち上げまでの経緯
・それぞれフリーランスとして活動していた2003年のある日、金内透さんが抱えていた大きなシステム案件で人手不足となり、迫田孝太さんを、後のメンバーとなる迫田峰子さんから紹介される。
・これが切っ掛けとなり、システム系の案件では、金内透さんと迫田孝太さんが一緒に仕事をするようになる。
・それまで、金内透さんは、人生のパートナーである金内和子さんとSOHOでWeb制作を行っていた。グラフィックからDTP、Web系とデザイン経験が豊富な和子さんが、制作業務を担当していた。
・こうして、プロデューサー、デザイナー、エンジニアが揃い、3人のユニットで仕事を行うようになる。3年が経ったところで、3人の関係を社会的にはっきりとした「形」にしたいとそれぞれが思い始める。次第に受注規模も大きくなり、無限責任な個人の集合体から、有限責任である法人格にする必要性を感じ始める。
・2005年、新会社法の施行でLLCという新しい会社形態の存在を知り(フリーランスの集合体にとって)とても魅力的に感じる。
・法人化にあたり、プロジェクトを進行管理したり、予算管理できる人材が足りないことを自覚。そこへ、まとめ役として迫田峰子さんをスカウト。
・2006年の春、“4人でLLCを作ろう!”という話になる。
「前例が無い事には特に不安も無く、楽しんで取り組めたのも、元々物づくりが好きなメンバーだったので、LLCという新しい会社作りも楽しめました。」と語る金内透さん。
■CGFMのメンバー紹介
合同会社CGFMの皆さん。右上が、コメントをいただいた金内透さん。右下が金内和子さん。左上が、迫田孝太さん。左下が迫田峰子さんです。 |
デザイナー(DTP、Web全般)
1974年大阪府生まれ。佐賀大学教育学部特別教科美術工芸課程を卒業後、印刷会社にDTPデザイナーとして就職。Webの仕事に興味を持ち独学し、地元プロバイダーにWebデザイナーとして転職。長いサラリーマン生活を経て2006年からフリーランスへ転向。SEO、SEMをふまえたサイトデザインとコーディングを得意とし、イラストも担当。現在守備範囲を広げるべく3Dアニメの勉強中。
金内 透(かねうち とおる)
コンテンツプロデューサー
1975年福岡県生まれ。九州芸術工科大学(現 九州大学) 芸術工学部 環境設計学科を卒業後、ランドスケープのデザイン事務所に就職するものの、半年で退職。契約社員として建築系会社でCAD導入やIT部門を担当しながら、デジタルハリウッド福岡校に通う。卒業後にフリーランスに。2002年福岡市内の制作会社に就職するも1年で退職し、2003年に再びフリーランスに。通常のWeb制作業務を行う傍ら、独学で携帯サイト構築やサイト運営など学ぶ。起業前までは夫婦二人でSOHOでWeb制作を営んでいた。自身の制作・開発・ポータルサイト運営の経験から、長期視点に立ったユーザーへの利益還元型の制作活動に注力しつつ、最近は講師業も行い若手育成と人材発掘に努めている。
迫田 孝太(さこだ こうた)
システムエンジニア
1979年熊本県生まれ。高校卒業後、プロのミュージシャンを目指し福岡の音楽専門学校へ通いながら様々なイベント・ホテル等での演奏活動に参加。卒業後、演奏活動の傍ら独学でサイト制作を学び、テレマーケティング企業のIT部門にデザイナーとして入社。2002年デザイン業務をメインにフリーランスとして独立。平行して各種プログラムも受注を行い、次第にこちらがメイン業務に。現在、アプリケーション設計からサーバー構築・各種プログラミングまで裏方作業全般を担当。
迫田 峰子(さこだ みねこ)
ディレクター
1976年佐賀県生まれ。佐賀大学経済学部卒業後、OA機器商社の営業職に就職するもサイト制作者を志し退職。デジタルハリウッド福岡校へ通う傍らテレマーケティング企業システム部門ヘルプデスク、ITベンチャー企業Webデザイナーを経て制作会社へ。サイト制作・DTP、システム管理をメイン業務としていたが、社内ベンチャー立ち上げの際に新規事業開発業務に携わり、経営や組織化のノウハウを学ぶ。結婚とLLC設立を機に、2006年3月に退職。現在、ディレクションおよび経営管理担当。制作部隊にどうやって気分よく仕事してもらうかが課題。
法人化の手段として、株式会社ではなく、LLCを選択したそのわけは? 次ページへ続きます>>