起業・会社設立のノウハウ/フリーランスになる

新会社法の改正点、要チェックです!(2ページ目)

今年5月、「新会社法」が施行されて、会社がとても作りやすくなりました。新しい法人形態も増えて、選択の幅も広がっています。そこで、「新会社法」によって、何がどう変わったのか、改正ポイントをまとめました。

執筆者:塚田 祐子

新設された会社形態、LLCとは?昨年スタートしたLLPとは、何が違うのか?


LLCを理解するためには、新しい組織形態がなぜ生まれてきたのか、その社会的背景や流れを知ると、理解が深まります。

経済の高度情報化が進んで、経営資源として最も大切な資産は、「資金」から、人の知識や能力等の「人的資産」へシフトしてきています。こうした環境の変化に対応して、アメリカではLLC(Limited Liability Company:有限責任会社)が、イギリスではLLP(Limited Liability Partnership:有限責任組合)が作られ、新しい組織形態として機能しています。

これらの組織は、次の3つの特徴を持っています。

1.有限責任制: 出資者の責任は、出資額に限定。
2.内部自治の原則: 出資者が自由に組織を運営できる
3.パススルー課税: 組織には課税されず、出資者が利益分配を受けた場合、その段階で課税となる。(=構成員課税)

要約すると、「出資は、お金だけではなく、技術やノウハウ等の能力も認められ、(出資金の比率ではなく)事業への貢献度に比例して、利益を分配することができる。組織へ法人税が課税されないため、その分、個人への分配額が増える。」となります。従来の組織形態より、経営の自由度が高いこと、組織の各メンバーが、貢献度に見合った報酬を得られること、というのがメリットです。

日本でも、海外に倣って、昨年の8月に、日本版LLP(有限責任事業組合)が、今年5月に新会社法で、日本版LLC(合同会社)が制度化されました。LLPは組合のため、今回の新会社法には含まれていませんが、個人や組織がジョイントして事業を行う場合に適した組織形態として、非常に注目を集めています。

■LLCとLLPの違い
 
LLC(合同会社)
LLP(有限責任事業組合)
組織形態 法人 組合
責任の範囲 有限責任:出資の範囲内の責任 有限責任:出資の範囲内の責任
設立に必要なもの

・人数:1名から設立できる ・資本金:制限なし ・登記費用:10万円

・人数:2名以上 ・資本金:制限なし ・登記費用:6万円
メリット ・株式会社へ組織変更ができる。 ・利益配分を出資額とは別に決められる。 ・法人格が必要な、許認可事業ができる。 ・利益配分を出資額とは別に決められる。 ・組織に課税されない。(構成員課税) ・co.jp ドメインが使用できる。
デメリット ・法人課税される。 ・新しい組織なので信用度が不明。 ・株式会社へ組織変更ができない。 ・経営の主体が分かりにくい。


日本版LLCで唯一残念なことが、「パススルー課税」が認められず、法人課税の対象となってしまったことです。すると、日本で、組織に課税されずに、構成員へ課税される組織は、LLP(※組合)のみとなります。

法人化するなら、どの組織形態が最適となるか? 次ページへ続きます>>
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