決算書は、年に1度の事業の健康診断のようなもの
では、決算書で、何が分かり、何がチェックできるのか。損益計算書(収支内訳書)から見ていきます。しかし、ココで1つ注力していただきたいことがあります。本来、売上を上げるために原価がかからない商売というものは無いはずです。すると、原価にあたるものは、自分の時間経費と考えられます。しかし、外部への支払いとはならないため、意識をしない方が多いようです。利益を増やすためには、自分の時間を何へどのように使えば効率が良いか、つまり自分自身へのコスト意識を持つことが、とても重要になります。
次に、<売上総利益-経費>で、所得金額が算出されます。これが、仕事を行った結果、得られた営業利益です。会社員の年収額に相当するものです。
「損益計算書」で算出した所得金額を、確定申告書に記載して、<所得金額-所得控除額>で所得税額確定します。しかし、この時点で支払うのは所得税のみで、住民税や社会保険料(国民健康保険、国民年金等)は、翌年に請求されて支払うことになります。
従って、所得金額から、所得税や住民税、社会保険料を全て差し引いた金額が、仕事をして得られた純利益となります。これが、会社員の手取り額に相当するものです。
ここまで計算して、初めて利益が出ているかどうかが分かります。さて、どうでしょうか? 果たして、妥当な利益は得られているでしょうか?
では、次に「貸借対照表」です。「損益計算書」が、事業の利益を表わすものなら、貸借対照表は、事業の体力を示すものとなります。十分な事業資金が手元にあれば、積極的に業務を展開することができ、それによって新たな利益を獲得することもできます。
しかし、事業をスタートさせた後、売上がなかなかあがらず、貯金を取り崩していったら、それは事業が“不健康な状態”にあることを意味します。さらに、借金を重ねたりしたら、債務超過となり、事業は、“重病の状態”に陥ります。
フリーの仕事は、仕入れがないと同時に、そうそう設備資金に多額のお金を必要とするものではありません。問題は、自分へのお給料を稼ぎ出せるかどうかです。開業後、仕事を軌道に乗せるまで、自己資金をどこまでつぎ込むか。その判断も、仕事の見通しと同時に重要になってきます。
「貸借対照表」の各数値は、年度でその推移を見ていくことが必要となります。対照表を作成されていない方は、事業資産の増減をチェックしてみて下さい。個人事業といえども、年に一度は、決算書から事業の健康状態を読み取り、その健康状態に応じて改善策や対応策を考える必要があります。
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