年に一度は、申告書をよく分析しよう

一般的に、法人企業が行う経営分析には、次のような手法があります。

1.決算書の数値を分析する。
 収益性:事業の収益力、規模に合った利益水準を利益率で分析。
 安全性:借入金・未払金等に対する支払い能力を分析。
 効率性:投下した資金が効果的に利用され、収益を生み出しているかを測定。
2.経営指標により分析する。(様々な指標を導き出して詳細な分析を行う。)
3.比較による分析。(同業他社、前年度、予算等)

これらの経営分析を、個人事業(フリーランス)に当てはめて考えると、基本的なチェックポイントは次のようになります。

■個人事業の経営分析

チェックポイント
収益性・赤字経営となっていないか。
・適正な利益を確保しているか。
成長性・売上、利益は、適正な成長曲線を描いているか。
・総資産は増加しているか。
・負債(未回収金・借入金)が増加していないか。
効率性・投下した時間や経費が生み出した収益は、妥当であるか。
・効率の悪い(赤字となる)仕事にパワーをかけていないか。


それでは、具体的に分析をしてみましょう!

収益性分析

利益は出ているか、妥当な利益水準にあるかを分析!
1.当期純利益を算出してみる。(※会社員の手取り給与相当額)
計算式:当期純利益=損益計算書(収支内訳書)の所得金額-所得税額-(住民税+社会保険料)
※所得税額は、確定申告書を参照。
※住民税や社会保険料は、前年度の金額を参照。又は、計算式により算出する。

2.算出した金額が、マイナスになっていないかチェックする。
マイナスの場合:これは、立派な赤字経営で、自転車操業をしている状態です。入金と支払いのタイミングがズレると、たちまち事業資金がショートする可能性大。継続不可能な状況に陥ります。
プラスの場合:同業・同職種の会社員の手取り給与と比較して、妥当な金額かどうかを比較してみましょう。著しく低い場合は、仕事の値付けを見直す必要があります。

成長性分析

必要利益を生み出す売上は確保できているか、事業資産は増えているか、グラフにしてチェック!
1.売上と所得金額、営業利益率の推移をグラフ化、各年度を比較チェックする。
※営業利益率は、<所得金額÷売上>により算出する。

2.貸借対照表の「資産の部」の合計をグラフ化、その推移をチェックする。
※白色申告の方は、各年度末の手元資金(事業収益による現金、預金、有価証券等)の合計。

3.負債(未回収金・借入金)が増加していないかをチェックする。
売掛金の未回収がある場合取引条件や回収方法を見直し、すぐに対策が必要です。
借人金が増加している場合:他者からの借金だけなく、自己資金を投入している際も、回収の見通しを客観的に判断することが必要です。

効率性分析

投下した時間や経費に対し、効率よく収益が上がっているか、チェック!
1.時間給を算出、時間単価が妥当かどうかチェックする。
計算式:時間給=損益計算書(収支内訳書)の所得金額÷年間稼動時間
※年間稼動時間は、<1日平均稼動時間×月の平均稼動日数×12ヶ月>で求める。

2.仕事内容別(案件・取引先別等)に、投下した時間と経費に対する利益率を算出する。
これは、仕事別に時間と経費のデータを取っていないとできません。しかし、こうした視点から、仕事内容を是非、見直してみて下さい。

「利益」を増やすには、「経費を削減する」「売上を伸ばす」、この2通りしかありません。通常、企業では、徹底的にコストカットを行い、次に売上を上げるための方策を講じます。

企業は組織による事業活動ですから、利益率の高い商品を仕入れ、人を増やして、事業を拡大していけます。しかし、個人事業のフリーランスには、そういった拡大策を取ることはできません。商品は、自分自身、そして身一つ、活動できるのはどんなに頑張っても(24時間-最低睡眠時間)です。

すると、いかに効率よく仕事を行うか、いかに自分の付加価値を上げるか、ココに尽きます。経営学に経験曲線という考え方があります。仕事の習熟率によって、掛かるコストが低下していくというものです。どんな仕事も、同じことを続けていけば、慣れや製作方法の改善や工夫によって、品質の良いものを早く作れるようになります。フリーランスには、得意分野や専門性を持つことが不可欠とされる理由は、こうした効率性の点からも理にかなっていると言えます。

大切なのは経営マインドを持つこと、次ページへ続きます>>